第6話 おもうがままに

部屋に入るとまだ人はいない。このうちに作戦を考える。

冷静になってみれば、僕は武器を持っているわけではないし、魔法を使えるわけででもない。かと言って武力は力の差がありすぎる。どうしたらいいのか。

考えているうちに部屋に3人入ってきた。どうしようどうしよう。パニックで頭の中が掻き回されているかのように、物事に集中して考えることができない。このまま仕事を始めてしまおうか。それとも…


次の瞬間、目の前が赤く染まっていた。周囲を見渡すと、白い清潔そうなベッドや、床一面は赤汚れ、先程の男3人が倒れている。 

呆然と立ち尽くしていると僕の首元に違和感を感じた。首元を確認してみると、金色の装飾で円を縁取られた、上品な花が描いてある高そうな時計がかかっていた。何だこれはと思ったが、そんなことをしている場合ではない。

まずはこれらをどうにかして、部屋をきれいにしないといけないし、何かバレない言い訳を考えなければならないのだ。

そうして僕が男達を片づけようとした瞬間、部屋が元通りのきれいな状態に戻ったのだ。

この部屋が汚れていたのなんか嘘かのように思えてくるくらいきれいだ。ベッドやカーテン、床についていたシミは綺麗さっぱりなくなっているし、何より男達の痕跡は残っていない。

どういうことだ?僕は困惑しつつも1人でベッドに座り、言い訳を考えた。

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