第5話 へんか

あれから僕達の生活は変わらず、仕事をしている。

とある日のこと、僕の友達が仕事に呼ばれた。友達はいつも

「大丈夫だよ‼すぐに終わらせてくるから!」

なんて笑顔で言うけど、僕はとても心配だった。

そういえば僕は、あの日あの感情を抱いてからずっと友達に対する気持ちが大きくなった。なぜだろうか。僕は心臓が絞られているような感覚の中、友達の帰りを待った。

扉が開いて僕はすぐに扉の方へ駆け寄った。大丈夫?と言おうと思ったが友達の姿がない。おかしい。他の子達は帰ってきているのに。帰ってきた子に聞いてみると、

「あの子、325番だっけ?他の子といっしょに地下室に呼ばれてたよ。無事だといいけど。」

その瞬間、僕の緊張の糸がプツリと切れた気がした。自然と涙がこぼれてくる。それをなだめるように帰ってきた子は寄り添ってくれている。

少し落ち着いたあと、僕は部屋で1人ぼーっとしていた。心が空っぽになった感じがした。あの子さえいれば僕は何でもいいのかもしれない。

あぁ、会いたい。愛してる。大好き大好き大好き。

ガチャン

音の方へ目をやる

扉が開いた。友達がいる。僕は嬉しさのあまり駆け寄って抱きしめた。

「よかったぁ…」

僕は安堵した。だがそれもつかの間。安堵したあまり友達の体を確認するのを忘れていた。

「大丈夫?」

そう言ってふと友達の顔を見ると、いつものような喋る元気はなく、ただただ僕に微笑みかけていた。目の下に涙の跡。グシャグシャの髪。切り傷やあざの多い腕と足。

「大丈夫。お風呂入ったあと、救護室で手当してもらうから。」

そう言って友達は部屋を出ていった。僕はありえないくらいの恨みが心の底からふつふつと沸き上がってきた。気づいたら恨みが怒りに変わっていった。許せない。僕の友達を、こんなことにして。許せない許せない許せない。こんな人達いらない。世界が、僕達2人が平和に安全に暮らせる世界が欲しい。

その時、僕の中の何かが変わった。

「225番232番327番、出ろ」

仕事だ。今から相手する人から、殺してやる。

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