第3話 ごはん

食堂につき、自分の場所に着く。食卓には、白米や味噌汁、焼き鮭などの、今の時代にとっては豪華なものが並べられている。

いただきます。

僕はいつもどおりご飯を食べる。すると

「食事にこんなものが出るなら部屋も温かくしてほしいんだけどな」

と325番が愚痴をこぼす。僕も頷いた。部屋は寒いし暗い。でも寒さと仕事以外は特に気にならない。お風呂は毎日好きな時間に入れてもらえるし、部屋では何をして過ごしてもいい。ただ一つ文句があるとするなら、小さいランプがほしい。あんな小さい電気をポンポン天井に置いたような配置じゃ、手元が影になって見えづらい。


ご飯を食べ終え部屋に戻ったあと、僕は友達とお話したり絵を描いたりして過ごしている。そう、午前中はあまり呼ばれることがないから少し安心できるのだ。そんな中友達が唐突にこんな事を言いだした。

「俺達も魔法使えるのかな」

確かにそうだ。魔法は生まれつきのもので、物心ついた時にふと使えるようになる人もいるらしい。でも僕達はここに来てからずっと仕事をしていだけど、そんな事考えた事もなかった。いや、考える余裕なんか無かったのかもしれない。だって僕達の仕事は、

ガシャン

「209番228番327番、出ろ」

終わった。最悪の事態だ。僕の番だ。怖い怖い怖い。ヤダやりたくない。でも怒られるのも嫌だ。僕は友達に心配されながらもぎこちない作り笑いで部屋を出た。

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