三題噺(企画用)
@PrimoFiume
【犬】【鬼】【船】
「あなた、昨日の蒼太の三者面談はどうだった?」
「ん? ああ、元気があるってのは褒められていたけど、成績の方はよろしくないから頑張らないと中学に入ってから大変だって言ってたよ」
当の蒼太は、全然響いていないようでスマホのゲームに夢中だ。
「ちょっと、何他人事みたいに言ってるのよ! あなたが蒼太を甘やかすからこんな風になっているの分からないの?」
また妻がヒステリーを起こした。全く、結婚すると人は変わると言うけど、こうもガミガミ言われるのはたまったもんじゃない。それに対して真智子先生可愛かったな。俺が蒼太の代わりに学校に通いたいくらいだ。
「ああ、悪かった。なぁ蒼太、成績上がるまでゲーム禁止な」
「えー、やだよ。今度のテストは頑張るから」蒼太がダダをこねる。
♪♪♪
妻のケータイがメールの着信を知らせるメロディを奏でる。
「真智子先生からだわ」そう言って妻はメールを確認する。
「ちょっと、どう言うこと」妻は鬼の形相で声を
「まぁまぁ、今俺も言ったじゃん。蒼太も今度は頑張るって言ってるんだからさ、もう一度チャンスをやろうよ」
「蒼太じゃない! あなたに言ってるのよ!」
「へ?」
「これを見なさい!」そう言って妻はケータイを差し出した。
「蒼太君のお父さんごめんなさい。せっかくのお食事のお誘いですけど、やっぱり私いけないことだと思いますので、お断りさせて頂きます」
やべぇ、つい真智子先生を口説いて強引にアドレス交換しちゃったけど、先生間違えて妻の方に返事しちゃったのか。
「いやいや、ただの社交辞令だって。ジョークジョーク」どうにか妻を宥めようと言葉を並べる。
「どうゆうジョークよ! もういい、離婚よ!」
「おいおい待て待て、ちょっと食事に誘っただけじゃん。ほら、船は帆でもつ帆は船でもつって言うだろ? 俺たちもお互い助け合って成り立っているんだ。な? な?」
「実家に帰らせていただきます」
「蒼太もお母さんになんか言ってやってくれ」
「夫婦喧嘩は犬も食わないね」
蒼太はそう言って再びスマホをいじりだした。
三題噺(企画用) @PrimoFiume
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。三題噺(企画用)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます