第18話 鍛え上げた基礎
「《アストラルスラスト》!!」
『キシャアァァァ!!!!』
敵の殺意に応じて威力が向上する暗黒魔法アストラルブレイクと、強力な三連撃を繰り出すブレイブスラストの1stハイブリッド、アストラルスラストがアースバジリスクの鱗を切り裂き、少しの出血を与えるが、即座に棘状に変形した大地が襲ってきたため回避。
(戦闘開始から2時間、ようやくアースバジリスクの動きが鈍ってきたな。)
テスラは途中でスタミナ切れで気絶、リリィは気力でなんとか動いているがそろそろ限界だろう。かくいう俺も疲労が溜まってきているから被弾が増えてきた。ここまでしてようやく、アースバジリスクの魔法発動が鈍くなったり地面に潜るスピードが低下した。こういう時、リリィが起きてないと動けないアスフィーがもどかしく感じるな。
「《レイドスラッシュ》!」
放たれる輝光の斬撃がアースバジリスクを後方に吹き飛ばす。天光魔法と戦技ヘビースラッシュの合せ技は破壊力と言うよりかはノックバック重視のため、時間稼ぎには向いている。
(そろそろ終わらせないと俺の気力にも限界が来るな、ドジ踏んで死ぬのはゴメンだからな。)
「《ディメンションオーバーホール》!!」
『キシャアァァァ!!!』
俺は右手をアースバジリスクに向けて翳し魔法を発動する。その瞬間大量の魔力が吸い取られるのを感じ、脱力感に全身が襲われるがここは我慢だ。
アースバジリスクを吸い込むように空間を喰らう渦が展開される。アースバジリスクは咄嗟に大地で自分を囲むが空間ごと喰らう特性上、それは無意味に終わりアースバジリスクの鱗がメキメキと音を立てて剥がれ、渦に吸い込まれていく。
「《天炎迅雷剣》!!」
『ギシャア!!???』
ディメンションオーバーホールに虚しい抵抗を続けるアースバジリスクに追い打ちを掛けるが如く、リリィの数十回の斬撃がアースバジリスクの肉体を切り裂く。その攻撃でリリィは魔力が完全に切れたようでその場で失神して空中から落下してくる。
「よく頑張ったね、リリィ。後は任せて。」
俺とリリィで手分けしていたため、1時間は一人でこの化け物とやり合っていたんだ。いくらリリィでも限界がくる。俺は空中から落下するリリィをお姫様抱っこでキャッチして、少し遠くにゆっくり寝かせる。
「さぁて、お互い疲れてきたしそろそろ終わりにしようか?」
『ギシャアァァァァァァ!!!!』
俺は再び突進する。そしてムラサメの特殊あびの一つ《怨念喰い》を発動、いつまで経っても俺達を殺せない怒り、憎悪、もどかしさを感じているアースバジリスクの悪感情全てを喰らって魔力とスタミナを3割ほど回復する。正直これが無ければとっくのとうにスタミナ切れが来てたと思う。
「《魔剣術3rdハイブリッド》!」
2ndを飛ばしていきなり3rdを発動する。3rdは剣技と魔法を3つ組み合わせるのと何かしら特殊効果を消費魔力に応じてつけることの出来るスキル。
組み合わせるのは、空間を圧縮・放出して超高密度攻撃を繰り出すディメンションドライブとフォビアの閃剣。そしてリリィの装甲・魔力ガード貫通魂直接攻撃の天炎轟剣の3つ。そして付け加えるのは邪悪特攻。
「《次空閃天炎》!!!」
『ギシャアァァァァァァッ!!!!』
バジリスクはその巨体に見合わぬ跳躍で30メートルほど上空に飛び、半径100メートルはあろう円形の隕石をこちらに放ってくる。
対するこちらは、無詠唱による魔法発動で自身の跳躍力を強化する風魔法エアリアルステップで上空に飛び上がったバジリスクに突撃する。
相対する小隕石と俺、本来ならば数キロとか、そういうレベルじゃないところまで危害を及ぼす王級魔法が目の前にある時点で死を覚悟すべきなのだが、生憎こっちはもう準備万端だ。打ち砕いてやる。
「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
振り抜かれるムラサメ、衝突する剣と隕石。隕石はムラサメと衝突した瞬間燃え上りムラサメを伝って俺の全身すらも焼き焦がそうとする。だが。
「治癒魔法でゴリ押しィィィィ!!!!!」
治癒魔法レベルMaxで使用可能のエクスヒールを使用している今の俺に死亡の概念はない。故にこうしてムラサメと隕石が鍔迫り合いを繰り広げて流れ弾が来ようとなんの問題もない。メチャクソ痛いけどなぁぁ!!!!!
「ハッハァ!!お前の最終奥義討ち取ったりぃ!!!」
『ギシャアァァァ!!!!!』
超高密度エネルギーを放出するディメンションドライブに、隕石の強固すぎる外殻を貫通する天炎轟剣。そんで絶対に押し負けないよう加速の閃剣。この組み合わせによる全力攻撃はいかなる攻撃も防御も貫く。
隕石にヒビが入る。ムラサメの輝きがより一層増す。俺の目は、それはそれはギラついていた。
(リリィ、テスラ、アスフィー。皆がいなきゃここまで追い詰められなかった。本当に感謝するよ。)
「オラァァァァァァッ!!!!!」
『ギシャアァァァ!!????』
隕石が粉々に破壊され、隕石を破壊した斬撃がそのままアースバジリスクの首を切断する。
「ぐへっ!?」
上空30メートルから落下してうめき声を上げる。仕方ないだろう?もう受け身を取る気力は残ってないんだよ。
「でも、勝てて良かったぁ、、、」
そんな呟きを残すと、俺の意識が沈み掛ける。だがそれを許さないのは脳内に響き渡るアナウンスだった。
【ネームドモンスター《アースバジリスク》を討伐しました】
【
【レベル97に上昇しました】
ユニークスキル習得、、、今回の大変さに見合うのはそんぐらいだよな。ムラサメで最後殺したから魂喰で奪ったのか。それにレベルもあと3で進化できるじゃねえか。
「あぁくそ、、、まだ確認したいのに、意識が、、、」
アナウンスによって引き止められた意識が、再度沈む。2時間の激闘のせいか抗えず、俺の意識は闇に沈んでいくのだった。
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