北魔聖戦編

第10話 冒険者の聖都


「リリィ、そろそろ着くよ。起きて。」


「うあっ、、、」


馬車に揺られること2日、ようやく目的地が見えてきた。


(ついに、始まるんだな。俺達の冒険者生活が。)


時の流れとは早いもので、タイラントでの激戦からもう5年が経ってしまった。俺達は成人の式典を数日前に執り行ったから、もう立派な大人なのだ。


そして、兼ねてからより計画していた冒険者計画はようやく始動した。さすがに15年間を過ごした村を出る時は泣いてしまったが、これからの生活を思うとワクワクが止まらない。


ちなみに、俺は15歳になって身長が170を超えた。黒髪黒目の日本人スタイルは相変わらずだが父さんがイケメンなのも相まって、結構整った顔立ちをしていると思う。


隣で無防備に寝ているリリィは、身長は155くらいで止まり、その銀髪はとてつもなく美しい。そんでもってありえないほど美人なので正直欲情することもある。


でもこちとら数十年一緒に暮らしてきた幼馴染なのでね、俺は鈍感主人公じゃないので、リリィが俺に好意を持っていることぐらい分かる。


「おぉ、、、ここが、、、」


馬車の窓を開けて顔を出すと、そこは村があったタイラントとは別格で綺麗な空気と風が染み渡る。あぁ゙〜、浄化される〜!


まぁふざけるのは置いておいて、ここが俺達の目指していた《ターレンダール公爵領》の首都ハイデン。またの名を《冒険者の聖都》と呼ばれる半径50キロの円形の巨大都市である。


目の前にそびえ立つのは、ありえないほど高い城壁。ここは魔族との戦争の最前線だから戦闘が多い、故にこの強力な城壁を築いているのである。


「ありがとうございます、御者さん。」


「あいよ、頑張りな。坊主共。」


2日間の長旅を共にした馬車の御者さんに、お礼の言葉を伝えて馬車を降りる。すると、都会の喧騒が俺達の耳を襲った。


「おい、あそこの店新スクロール展開したらしいぞ?」


「マジで!?」


「あぁ〜!本当に疲れた!!」


「俺の剣、、、折れちゃった、、、」


様々な人々が、色んな会話を繰り広げながら門を通る。その人たちの共通点は、全員が右胸に交差した剣のマークをつけていることだった。


(アレが冒険者、、、やっぱり冒険者の聖都って言われるだけあって顔パスならぬマークパスなのか。まぁ、一応村を出る時に身分証明書作ったから大丈夫だろうけど。)


「カイラ、カイラ、ねぇねぇ。」

 

「ん?どうしたのリリィ?」


「私今、すっっっごくワクワクしてる!!」


リリィは満面の笑みでそう答える。はい、そうです。俺も大変同じ気持ちです本当にありがとうございましたひゃっほい!!!!


冒険者の聖都、魔族との戦争の最前線だからこそのモンスターの凶暴性や大規模なレイド戦などの荒くれ者が大活躍する事変で塗れているターレンダール公爵領。ここは、王国3大魔境であるタイラントと同じ危険度を設定されている。


ちなみに、タイラントの第四エリアはAランクモンスターがたっくさん居る本物の魔境。タイラントの最奥にはSランクモンスター、古の災害である《古龍》が封印されている。


閑話休題。


話を戻すと、現在は検問の並び時間である。ここには数千人単位の冒険者に加えて数十万人規模の人々が暮らしているから検問にはいつも数百人並んでいると聞いたことがある。だからまあまあ待つのだ。


その間に、現在のステータスを確認しよう。



◆◆◆◆◆◆◆◆



カイラ レベル91


筋力 X

俊敏 XX

魔力 X

器用 X

耐久 X

幸運 SSS


《スキル》


筋力超強化 レベルMax

俊敏超強化 レベルMax

魔力超強化 レベルMax

器用超強化 レベルMax

耐久超強化 レベルMax

幸運超強化 レベルMax

並列思考  レベルMax

思考加速  レベルMax

動体視力強化レベルMax

蜃気楼   レベルMax

火炎魔法  レベルMax(進化ポイント100)

水流魔法  レベルMax(進化ポイント100)

暴風魔法  レベルMax(進化ポイント100)

大地魔法  レベルMax(進化ポイント100)

烈氷魔法  レベルMax(進化ポイント100)

雷鳴魔法  レベルMax(進化ポイント100)

天光魔法  レベル6

暗黒魔法  レベル4

治療魔法  レベル3


《ユニークスキル》


天理眼 レベル4

魔剣術 レベル4


《称号》


異世界転生者

格上狩り

開眼者

努力の鬼



◆◆◆◆◆◆



こちらが5年間の成果でございます、我ながらかなり頑張ったと思うんだよね。魔法スキル一つを進化させるのに1ヶ月近くかかるのに睡眠時間を削って1日15時間魔法の修行をしたから、新魔法スキルの光、闇、雷も進化させられたんだよな。治癒魔法は、うん。最近習得したのが最近だからしょうがない。


ちなみにステータスのXっていうのは、SSSのさらに先で、X→XX→XXX→Zみたいな感じで続いていくらしい。


あと一つ言うなら、ユニークスキルのレベルほんっっっっとうに上がらない!!メッチャ強いから早急にレベルを上げたいのだが5年間でレベル4までしか上げられなかった。必要熟練度多すぎんだよバカタレ。


そして魔剣術、これは本当にイカれ性能だった。レベル1で習得出来る《1stハイブリッド》という戦技は、剣技と魔法を一つずつ組み合わせられるという戦技で、現在俺が習得してる中で最も強い火属性聖級魔法と、剣聖術の戦技を組み合わせると山一つを破壊するような火力我出せる。ちなみに、今はレベル4だから4つまで組み合わせられるぞ。魔力の消費は半端じゃないけどな。


しかも何がヤバいって、俺が模倣したスキルも組み合わせられるんだよな。だから魔法とリリィの火剣術だったりも組み合わせられる。ちなみに天炎は、ユニークスキルなので模倣出来なかった。


「しかも、これに加えて天理眼もあるからなぁ、、、」


「カイラ、次私達の番だよ。」


俺がつい考え込んでいると、俺達の番が来たようだ。やっぱり戦争の最前線だし警備もかなり厳重なんだろう。


「ようし二人だな、何か身分を証明できるものはあるか?」


「はい、お願いします。」


門番に身分証明書を求められたので、事前に作ってきた身分証明書を差し出す。どうやら俺達は農民という扱いだったのだが、成人して村を出たことでフリーター扱いらしい。


「なるほど、犯罪歴はないな。フリーターという事は冒険者志望か?」


「はい、これでも腕には自信があるので。」


「ほう?なら気をつけるっこったな。最近魔族共の動きが怪しい。近い内にデカい戦争が起きるぜ?」


「有力な情報感謝いたします。」


圧倒的営業スマイルを放ちながら、許可が出たので門を通る。門を潜り抜けた瞬間、俺とリリィの顔に笑顔が咲いた。


「「すっごおおおおおおおおおお!!!!!」」


反応が完全に被った。だが仕方ないだろう?俺達はあんな小さな村とどこまでも続くタイラントで育ったんだ。こんなThe・ファンタジーの中世ヨーロッパ街を目の前にしたら興奮するに決まってる。


(冒険者特有のでっかい声と、僅かに匂う鉄の香り。そして街ゆく人々が皆武具を身に着けているのを見てさらにテンションが上がってしょうがない!)


「おっといけないいけない、まずは宿屋の確保だな。」


「カイラ!私鍛冶屋を見てきてもいい!?」


「分かったよ、それじゃ夕方に中央の噴水公園で集合ね。」


「は〜い!!」


15歳になって少し大人っぽくなったリリィも、流石に興奮を抑えきれずに走り出してしまった。でもまぁスゴく分かる。俺も早く冒険者登録したいもん。


「ふふ、たのしみだなぁ。」


(・∀・)ニヤニヤを抑えきれず口角が上がりつつも、宿屋を探しに行くのだった。



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