第4話 収穫祭
「カイラ、今日は収穫祭だからな。美味しいご飯期待しとけよ?」
「もちろん、父さんはお酒でしょ?」
「祝い事だからな、飲み明かすぜぇ!」
「あなた、程々にね。」
「うい、すいやせん。」
今日はあるお祭り事がある、それは収穫祭という祭りで、我等がマハト村で作った野菜を収穫して皆で食べるお祭りなのだ。それは毎年一回の大きなお祭りで、とても楽しい。
(今年は色んな事があったからなぁ、、、モンスター狩りを始めてレベルを55まで上げて、ついに俊敏のステータスがSに到達したり、強力な新スキルを何個も習得した。そろそろ魔法にも挑戦してみようかな。)
今年を振り返ってみると、なんだかんだ色んな事があった。一番大きいのはやはりモンスター狩りを始めたことだろう。まだ第三エリアには踏み込めずにいるが、魔法を使えるようになれば行ってみようかとも思っている。
「つっても、魔法の使い方なんて分かんねぇんだよなぁ。」
俺は右手を少し掲げる、その掌に魔力と呼ばれる紫色のオーラを固めてみるがとくに何も起きない。スキルとしては地水火風と氷の五属性を扱えるはずなんだけど、どうして使えないのだろうか。
「てことで、リリィ。なんでだと思う?」
「私が分かるわけ無いじゃん、、、」
「いやさ、リリィは独自に火剣術を編み出したからなんか知ってるかなって。」
そんなこんなで、外で素振りをしているリリィに声を掛けに行った。いやだってリリィジブンで魔法みたいな剣術生み出したからなんかコツとか知ってるかなって。
「ん〜、そんなコツとかはないんだけどイメージは大事だよ。私の火剣術なら具体的にどうして剣に火が付くのか、どうすればその剣を振ってその効果を出せるかを明確に想像するの。」
「イメージ、、、ん〜、出来ないんだよな。」
「後はルーティーンを作ることかな、私なら発動する前に技名を唱えること。」
「ほうほう?イメージを深くして魔法名を呟く。」
俺はその助言を聞いて、個人的に大好きな氷属性魔法を発動しようとする。イメージは魔力が凍って氷塊を作り、飛んでいくイメージ。そして魔法名を呟く。
「《アイスロック》!!」
ドゴンッ!!
俺のかざした右手から放たれたのは、バスケットボールぐらいのサイズの氷塊。それは時速100キロはあろう速度で木へと飛んでいき、割と大きい木を真っ二つに破壊する。
「うおすっげぇ!!」
「出来たじゃん!!」
俺に足りなかったのはイメージの強さのようだった。うん、もっと深く深くイメージせなあかんのか。この調子でたくさん魔法習得すっぞ!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「うむ、マハト村の村民たちよ。今日は宴じゃ!存分に食って飲むがよい!」
髭をたくさんはやしたご老人、マハト村の村長はそんな言葉と共に宴を開始する。村民たちは一瞬で爆音をかき鳴らし、各々が酒を飲んで飯を食う。まさに祭りって感じだ。
「ん〜!美味しい!!」
普段は結構質素な食生活だったけど、今日は貴重な砂糖を使ったお菓子に加えて、味の濃い肉にパン、サラダも色んな種類野菜が使われている。
この世界での成人は15歳なので、10歳の俺はまだ酒が飲めないのが残念だが十分に楽しい。やっぱり祭りは良いねぇ。
「カイラァ、お前なんでそんなに強いんだよぉ。」
「うお父さん、見事に酔っ払ってんな。」
宴開始から30分ほどが経つと、大人たちは少しずつ酔っ払ってきた。うちの父さんは酒に弱いくせにたくさん飲むからすぐ潰れるんだよな。
「でもなぁ、カイラがモンスターを狩ってくれるから毎日肉が食える!幸せ!ありがとう!」
普段はクールな父さんが酒を飲むとこうなるんだから、酒は怖い。まぁ俺自身も毎日ホーンラビットを20匹ほど村に輸送して村中の食事にして貢献してるし悪い気はしないな。
「リリィ、これも美味しいよ。」
「ん?カイラ。ありがとう。」
祭りなのにも関わらず、剣の型の練習をしているリリィにビッグボアの丸焼きを差し出す。リリィはお肉が大好物なのですぐに食い付くかと思ったのに、何か反応が控えめだ。
「どうしたリリィ?元気ないぞ?」
「いやね、あと5年もしたらこんな楽しい日々も終わるのかって思って。」
「あぁ、15歳になったら冒険者になるって決めたもんな。」
幼き頃の約束、成人して村に迷惑を掛けなくなったら二人で大きな街に出て冒険者になるという約束をリリィが覚えていて、少し嬉しかった。でも確かに、こんな楽しい日々があと5年しか無いって考えると、少し感慨深いなぁ。
「よしリリィ!ビッグボアの丸焼き早食い勝負しようぜ!」
「急にどうしたのカイラ!?」
「俺は5年後の事を考えるんじゃなくて、今の楽しい時間を満喫したい!それだけさ!」
俺もすぐそこのテーブルにおいてある、焼き立てのビッグボアの丸焼きを手にとってリリィに勝負を持ち掛ける。こういう時こそ、今を全力で楽しむに限る!!
「うおおおおお!!!!!」
「まけないよ!!」
そんなこんなで、宴はまだまだ続くのだった。
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