第3話 効率の良い狩りを見つけた時の嬉しさは半端じゃない
10歳になった。身長は150を超えてステータスは幸運と魔力以外B+まで上がり、レベルは40の大台に到達。スキルも大分揃ってきて全ステータスの強化スキルに並列思考、思考加速、動体視力強化に剣術の上位スキル《剣聖術》も習得し、リリィとも大分やり会えるようになってきた。
「ありがとうカイラ、そこの範囲に水をやったら今日はもう休んで良いぞ。」
「は〜い。」
現在の時刻は午前10時、朝6時から作業しているためもう少しで終わる。そうすればまたリリィとの模擬戦祭りなのだが、最近はそれではレベルも上がりづらくなってきた。
なので、そろそろ始めようと思う。モンスター狩りを。
「リリィ、俺達は10歳になって大分強くなった。村周辺のモンスターには負けないと思っている。だからモンスター狩りに行かないか?」
「モンスター狩り?」
今日の農業が終わりを迎えると、速攻でリリィの家に向かう。そこには10歳になって身長が140を超え、美しい白髪が背中まで伸びたリリィがいた。うん、可愛すぎじゃない?俺の幼馴染。
「うん、リリィもレベルが上がりづらくなってきたでしょ?だから効率よく経験値を稼ぐために森に出てモンスターを倒すんだ。」
「確かに!レベル40を超えてから全然上がらないし、やっぱりカイラ頭良い!」
「あはは、、、」
魂に染み込んだレベル上げの方程式が、俺に正解を教えてくれるのだ。てかリリィさんや、アンタレベル40で俺と一緒なのに筋力と俊敏のステータスがSってどういうことなんだい?
しかもリリィは5歳の頃から剣聖術を使い、動体視力強化を持つ俺の眼でも捉えるので精一杯なほど速く動く。しかもその攻撃の威力は大岩を粉々にするレベル。
「まぁ追いつける追いつける、よしリリィ!剣を持って出発じゃい!」
「おー!」
村に数本しか無い鉄製の剣を勝手に持ち出した俺等は、森の中へと進むのだった。
◆◆◆◆◆豆知識◆◆◆◆◆
《タイラント》、主人公カイラの住むマハト村が存在する大森林でとんでもない広さを誇る。その広さはなんと聖大陸の6割を占めており、中心に近づくにつれて危険度が上がっていく。危険度はエリアで表され、第一エリアから第五エリアまで存在する。マハト村が位置するのは第一エリアで、デルタ王国と呼ばれる大国の西端に位置するヘンベスタン伯爵家の領地である。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「うわぁ、なんか雰囲気あるね。」
「そりゃモンスターが出る森だからね、まぁここはまだ第一エリアでDランクのモンスターまでしか出ないけど。」
今日目指すのは第二エリア、普通の大人なら確実に殺されるレベルのモンスター、Cランクモンスターがうようよするエリアである。こんなの父さんたちに言ったらこっぴどく怒られるのだろうが、こればかりは譲れない。
そんなこんなで、タイラントに入ってから10分ほど歩くとようやく一体目のモンスターに遭遇した。奴はホーンラビット、Eランクモンスターで成人男性が武装していれば倒せるレベルだ。
見た目は80センチくらいの兎にデカい凶悪な角が生えた感じ。奴の特徴はその速さと角の凶悪さである。しかし、、、
「見えてるんだなこれが。」
『グギャ!?』
地面に軽い跡を残すほどの力で地面を蹴ったホーンラビットは、かなりの速さでこちらの心臓目掛けて突進してくる。
だがそれはリリィの斬撃に比べれば蠅が止まる速さだ。俺は冷静に回避してそのまま鉄製の剣を振り下ろしてやつの首を切り落とす。
「うん、第一エリアは余裕かな。さっさと第二エリアに行こうか。」
リリィに目配せをして、全速力で走り出す。筋力俊敏両方Bに到達したのに加えて、各ステータス強化スキルが進化して倍率が2倍になったから実質A相当の速さを見せてやんよ。まぁリリィのほうが速いんだけど。
結構森森してるせいで走りにくいが、時速150キロは出てるだろう速度で森の中を駆ける。道中にホーンラビットがほんっとうにたくさん居たけどフル無視で第二エリアへと向かう。
20分ほど走り続けると、緑豊かな森から紫色で足首ぐらいまで伸びる草が大量に生い茂る草原に出る。ここがタイラント第二エリア、
ちなみにCランクの強さをざっくり言うと、小規模な街、男爵や子爵が経営する街を一体で滅ぼせるほどの強さだ。要するに、ここのモンスターが解き放たれたらデルタ王国には甚大な被害が出る。まぁ王国にはSランクが4人いるらしいし大丈夫だろうけど。
「それはともかく、リリィ。ここからは本気で行かなきゃやられるからな。気合入れてくぞ〜!」
「行くぞ〜!!」
魔平原に足を踏み入れ、現在持っているスキルを粗方発動する。リリィも気合十分のようだ。
『クアアアア!!!!!』
「リリィ!上だ!!」
「分かってる!!」
俺より少し前にいるリリィの頭を、鳥型のモンスターが襲いかかる。しかしリリィは超反応でそれを躱して奴の左翼を切り落とす。
そこに居たのは、2メートルぐらいのサイズの白い毛を持つ鳥型モンスター。左翼があった場所から大量の血を垂れ流す。
「Cランクモンスター《クアッドロフ》。群れで行動する空の狩人、、、やっぱ、うじゃうじゃいんなぁ。」
俺が上を見上げると、そこには軽く30匹以上は居るであろうクアッドロフの姿が。うんなんだろう、いくら白くて綺麗な毛並みでもここまで集まると気色悪いな。
「リリィ、殲滅する。」
「了解!!」
『『『『『クアアアア!!!!!』』』』』
始まる乱戦、俺は並列思考で思考を5つに増殖して思考加速でそれを高速化。動体視力強化で敵を捉えて各種ステータス強化スキルで攻撃する。
「戦技――――円舞剣輪!!」
「戦技――――火閃剣!!」
上空から時速200キロ近いスピードで落下してくるクアッドロフを、全方位に強力な斬撃を放つ円舞剣輪で迎撃する。リリィは彼女自身が剣術から独自進化させた火剣術の戦技、火閃剣で上空に炎の斬撃を放って奴等を落とす。
「まだまだぁ!戦技――――迅雷連剣!!」
「戦技――――火剣轟轟!!」
まだまだ勢いが衰えることなく突っ込んでくるクアッドロフの一体に、脇腹を少し抉られる。折れはそいつの首を強引に掴んで空へとぶん投げ、一体のクアッドロフを落とす。その勢いののまま腰を深く落としスキルを発動、まるで雷のように駆け4体のクアッドロフの首を切断する。
リリィは未だ無傷、次々に襲い来るクアッドロフを容赦なく斬り伏せていき、リリィの周りには20を越えるクアッドロフの死体が転がっていた。しかもその全部が焼け焦げている。
「リリィ!!合わせろ!!」
「分かった!!」
事前にリリィと練習していたアレを使うときが来たようだ。残るクアッドロフは21体、幸いなことに固まっているから一発で殲滅できるはず。
「戦技―――模倣火剣蜂(イミテート!)」
「戦技―――火雷閃剣!!」
俺が地面に剣を突き刺し、あるスキルを発動する。それは《模倣(イミテート)》。何回も見て、構造ヤイメージを具体的に理解することで相手のスキルをコピーして扱う事が出来るスキル。俺は剣を地面に突き刺して火剣術を発動することで、地面から火の噴水を吹き上がらせる。
時速500キロは出ているであろう火の噴水に躊躇なく飛び込んでいったリリィは、超加速して上空へと飛び上がる。その速度は時速1000キロに到達するだろう。
バサッ、、、バサッ、、、そんな音と共に21体のクアッドロフの死体が落ちてくる。相変わらず、リリィは速すぎて斬ったのが見えない。
「うおおっ!!レベルが3つも上がってる!」
「本当だ!!カイラ!!もっと戦お!!」
俺はスキルツリーを見て確認する。するとそこにはレベル43と書かれていた。やばい普通に感動だわ、2週間くらい模擬戦しても上がらなかったレベルがこんなに上がるなんて。
「リリィ!魔力は十分か!!」
「問題ありません隊長!!」
「んじゃ行くぞ〜!!」
お互いにテンションマックスで、再び狩りを開始するのであった。
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