第2話

(っんんっ…おしっこぉ、おしっこぉ…)

めちゃくちゃおしっこ漏れそう。

秋口、ただでさえ外にでるだけで体が冷えて風が膀胱を叩いてくる季節だというのに。その日も張りつめた下腹を抱えて業務に励んでいた。

 というのも、いつもはおやつの時間の後、園児のお迎えが増えて園児が減るため、その時間にいつも済ませられるのだが、今日は体調不良の職員が数人休んでおり、園児の数が減ってもいつもみたいな余裕が生まれない。

アキくんのお迎えの時も、ヨウコちゃんが泣いている時も、下腹がじくじくわめき出す。

「タケルくん、ヨウコちゃんのおもちゃとっちゃ駄目でしょ?」

そんな先生みたいなことを言ってみるけど、しゃがんでいる踵でソコをグリグリして、子供みたいに我慢してる。

「はい、仲直り」

手を二人に出させ、何とか問題は解決する。幼児というのは単純なもので、関係の修復もすぐに済む。

「あ、尾北先生、うちのクラス、一人になったのでこっちで遊ばせても良いですか?」

肘に男の子をぶら下げた多田木先生がやってきた。

「あ、はい。あの、多田木せんせ…」

「おきたせんせー!僕、おしっこー!漏れちゃう、漏れちゃう!!」

「えっ!?早く行かなきゃ!多田木先生、ここ見ててもらって良いですか?」

「はぁ…」


あ~、辛い。モジモジと、小さな両手で一生懸命性器を揉み込んでいる姿。今まさに自分がしたいポーズ。

「ユウキくん、おしっこは早めに行こうねってこの前言ったでしょ?」

「だって、だってぇ~…ロボット作りたかったんだもん~おしっこぉ…でる、でるぅぅ…」

「もうちょっと頑張ろうね、ん、」

あれだけ時間があるのに漏れるまで溜めてるんじゃねえよ!そんな悪態は心の中に。園児はそういうものなんだ。仕方ないんだ。

「あ、といれぇぇ!せんせ、ぬがせて、ぬがせて、」

「はいはい、ちょっとまってね~」

小便器の前で地団駄をふむユウキくんのズボンをパンツごとずりおろし、小さな小さな性器を便器に向ける。

シャアアアアアっ…

その瞬間、小便器に勢いよくたたき付けられる音が響く。

「ふぅ~…」

気持ちよさそうな声。それも自分の待ち望んでいた場所で。踵で押さえている出口がキュンキュン疼く。心なしか、温かい。

全てが出きった性器を軽く振り、身なりを整えてやる。

「しゅっきりしたぁ…せんせ、ありがとっ!」

「いーえ。こんどはもっと早くいうんだよ?」

「分かったー!じゃ、ぼく、ロボット作らなきゃ!!」

 手を洗うのもそこそこに、彼は走って教室に戻ってしまった。

 本当は石鹸を使って指導しないといけないんだけど、今はそれどころじゃない。誰にも見られなくなった瞬間、エプロンの上からソコを握りしめる。

タン、タンと足踏みを繰り返しながら、腰を前後に揺らしながら。

もう、ここでしてしまいたい。


 しちゃおうかな…前は一緒にしてたんだし…


ジュッ…

いや、ダメだ。後ろの個室は女の子が使う。教育に悪いって言われたばかりじゃないか。

ジュッ…

ここから、二階分の階段。誰も見ていないのを良いことに、ソコをもみくちゃに刺激しながら階段を上る。

もう、だめ…なのに…。

性器がヒクヒク揺れて、背中が冷たい。お腹だってパンパンで、少しでも力の入れ方を間違えたら、全部出てしまう。

「ヒグッ、おしっこ、おしっこ、でちゃ、」

エプロン越しじゃ足りなくて、たくし上げて、ズボンの中に手を突っ込んだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る