地獄
「呪いの王が、鬼が、こんな腑抜けた野郎だなんて。この遣る瀬無さを。俺の野望をどこにぶつければいい。いや。問う必要はない。
「いやそんないい顔で言われても俺は嫌だよ!俺は細く長く生きるんだ!誰が呪いの王になって
「おまえは鬼のクローンだろうが!」
「鬼のクローンだから何だってんだい!俺は俺だ!鬼なんか!呪いの王なんか知るか!ほら!もう帰るよ!どうやら俺たちをここに連れてきたのはこの鬼みたいだし!はい。俺はあんたが望む鬼にはなりません!俺は俺の望む鬼、っていうか、祓い役になります!はいさようなら!ごきげんよう!あっ。ただ、鬼が島に集う生物の操り人形になりたくない、祓ってほしいって言うんなら、俺はあんたを祓うよ」
しれっと言い放った
「いや。存外、これはこれで悪くはない。とは、思っている。望まざる対象から、望まれる対象になった事を、暫し楽しんでのち、そうだな。そなたに祓われるか。もしくは」
鬼は目を眇めた。
「また、望まざる対象へと戻るか。決めるとしようか」
「そっか。じゃあ。そういう事で」
あっけらかんと返して櫂を宥めつつ豪華客船に戻ろうとした
「え?なに?気が変わって祓われたくなったの?」
「いいや。誤解があるようなので言っておこう。その豪華客船は元々この鬼が島に到着予定だったものだ。ここはリゾート施設でもあるからな。三日は滞留する。当然、その間、豪華客船は動かぬぞ」
「へ?」
「っふ。それまで、まあ。双子水入らず?いや?親子水入らず?語り合おうではないか。
「へ?」
「おういいじゃねえか。その間に、呪いの王になってもいいぞ。俺がしかと祓ってやるから安心しろ」
種類は違えど、キラキラと爛漫に輝く表情を櫂からも鬼からも向けられた
「ふふ。
文太は縁側に座って、熱い緑茶を飲んだのち、鬼を
「うん。美味しい」
「文太!!!助けに来てくれーーー!!!」
「まあまあまあ。のちのために親睦を深めようではないか」
「そうそうそう。俺のために親睦を深めておけ」
「ぎゃあああああーーーーー!!!」
(2024.2.5)
よもすがら 藤泉都理 @fujitori
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