ロリコンおじさんと少女
この間のデートは無事成功したはずだ。ミサキさんとも仲良くなれた、男友達としてだが。
まぁいい、俺にはこの店があるしな。今日も今日とて出勤だ。
月光を背に浴びながら、俺はずんずん歩く。月の存在感が今日はあまりにも強い、まるで後ろから着いてきてるみたいだ。
謎の恐怖心に包み込まれた俺は、意を決して後ろを振り向く。
「ッッ!」
後ろには夜の街には相応しくない少女が居た。中学生か下手したら小学生かもしれない、おいおい親はどうなってるんだ。
「気づいたね、おじさん。」
「どうしたのかな?こんな時間に危ないよ?」
「バカにしないで!人を探してるの!」
テレビでしか見た事のない罵声を浴びてしまった。
「いや、でも危ないよ?帰ろう。」
「嫌だ!私おじさんの店に行くことにしたの!」
知ってるのか、俺の事を。けど子どもの言うことだ適当かもしれない。けど万が一の事があったら困るし。
「あー、分かった一緒に行こっか。」
「やったぁ!」
そしてこの子を俺の店に連れていくことにした。
怒られなかったらいいな…
「おっ!どうだったよ、デートはーって!子どもいるじゃん!?」
「リコちゃん既婚者だったんですか!?」
違う違うと言いながら、この子の相手をする。
「名前は?」
「亜美」
「何歳?」
「10」
その場にいる全員が頭を抱える。遂に誘拐したのかと哀れみの目まで、向けられてしまった。
「リコちゃん、流石に出頭案件よ。」
「違うんですって、この子が付いてきたいって言ったから!」
「なんだ、うるさいぞ。」
うげっ、オーナーに見つかっちゃった。
必死に亜美ちゃんを隠す。バレないよう祈りながらも、時すでに遅し。一瞬にして見つかってしまった。
「あのっ、これは違って。えっと」
「…」
2人の間に沈黙が流れる、空気が重い。
「おとーさん?」
「えっ」
「亜美…」
えっえっと、その場にいた全員と顔を見合わせる。こんなの知らない聞いてないと、ザワザワする。
「おい、リコ」
「はいっ!」
怒られると思い身構えるが、その目には涙が浮かんでいた。
「よくやってくれた。感謝する」
実はこの店は、犯罪者予備軍を集めて女装キャバクラにする以外にも目的があったのだった。
ロリコンおじさんキャバ嬢になる 富田林早子 @tonof
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