ロリコンおじさんと水族館
「この姿で会うの初めてだから緊張しますね。」
「いつもは女装ですからね、ちょっと不思議な感じです。」
いつも喋ってる人なのに、何だか初めましての気分だ。男のままだと違和感が凄い。
「着きましたね。」
「じゃぁ行きましょうか」
紳士的にエスコートする訳でもなくただただ男二人で、水族館の中を歩く。
「修学旅行くらいしか、機会が無いって思ってたんで今日楽しみにしてたんですよ。」
「そうだったんですか、嬉しいです。自分水族館の雰囲気とか結構好きで、仲良くなりたい人はみんな誘ってるんです。」
嬉し過ぎるな。仲良くなりたいか、そんなことを言われたのは小学生以来だな、友達が純粋に欲しいと思って誘ってくれてるんだから、今日は邪な気持ちは無しだ。
「俺魚とか詳しくないんですけど、雰囲気が好きなのはなんか分かります。」
「自分も詳しくないんで、いつも何となくで楽しんでるんです。サメ大きいなとか、クラゲふわふわしてるな、みたいな緩い感じです。」
「そんな感じなんですね、同じ楽しみ方でちょっと安心しました。」
「自分きっちりとか、ちゃんとするとか苦手で勉強もダメなので。知識とかも無くて解説とか期待されてたらどうしようって思ってたんですけど、大丈夫でしたか?」
「全然大丈夫ですよ!俺も解説とか頭に入らないタイプなんで!」
よかった質問されたりするのは苦手なんだ。ガイドさんの話とかも理解できないから、急にクイズとか出されたらどうしようかと。
「これはカニですね、ちっちゃい〜赤ちゃんですかね?」
「ホント手のひらサイズのカニですね!カニでこんなに盛り上がれるのって、水族館の特許ですよね!」
「たしカニ。なーんて」
「リコさん、親父ギャグじゃないですかー」
和やかな時間が続く。
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