ロリコンおじさんとメール
「本当に可愛いですね、まだ写真しか見た事ないですけど僕既に好きかもしれないです。笑」
送信しようとした瞬間、横からチホちゃんが凄い形相で送信を止めてきた。
「待って、待って。ヤバいよこの文の内容最悪」
なんでだよと思いつつ、若者の感性に身を委ねるのも必要だと思い、話を聞いてみる。
「まだメール1ターンしかしてないし、最初は世間話くらいから始めないと。」
「最初から俺に好意があるんだから、別に大丈夫でしょ?」
「そんな訳ないって!メルアド渡されただけだから、まだそうと決まった訳じゃないし。」
女の子は基本異性に好きって言われたら嬉しいものなんじゃないのか?だって写真とアドレスなんてほぼオンラインのお見合いみたいなものだろ。
「人伝いに渡されるってことは、好きの証じゃないのか?」
「例え好きでも、いきなり可愛いとかはセクハラだよ!」
現代はやっぱり難しい。褒めるとセクハラ可愛いもセクハラ、もうパニックになりそうだ。
「現実でもネットでも、距離縮めるの下手な人いるよね〜。初めの何ターンかは世間話、その次にパーソナルな話だよ。下手な人はちょっと褒められたり、優しくされたら直ぐに告白に持っていこうとするんだから。」
「メールアドレスを交換するって、好きだからじゃないのか!?」
俺は女性との連絡先の交換をした経験がほぼ皆無だ、あるのは身内だけ。交換してくれた貴重な女子たちはみんなアドレスが変わってたりアカウントが無くなってた。
「違うよ!今までよくその価値観で生きてこれたよね、何常識人ぶってるの。だからモテないしロリコンなんだ。」
「さすがにオーバーキル過ぎるよ!分かったよ直せばいいんでしょ直せば。」
「分かればいいのよ、分かれば。」
確かに今思えばそうかもしれない、友達と一緒にアドレス交換したって話題が出れば、好きなんじゃないかって話になってたがそれは好意じゃなくて、ただの業務連絡目的だったのか。
「なんか凹んでる所申し訳ないけど、メール見せて。チホが修正するから。」
色んな事に気づいてしまい、意気消沈してる俺の横でチホちゃんがせこせこメールを打ち直している。
「出来た!」と言い俺に見せてくれたメールを送信する。
「会ってみたいなんて言われたの初めてで嬉しいです。これからよろしくお願いします!」
「こんなシンプルでいいんだね。」
「あったりまえよ、当たり障りないのが無難なの。」
俺は無難を覚えた
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