ロリコンおじさんとえらい目

「いやーそれにしてもほっそいわね。」


「ひょろひょろじゃないの、もっと筋肉つけた方がいいわ」


余計なお世話だよ、鍛えた方がいいのは100も承知だよ。けどここで働くなら、細くて華奢な方が嬉しいだろ。


「ちょっとしツレーぃ」


そう言われて、バニーから腹筋を触られた。


「ちょっ、何するんです!?」


「あー、こりゃ筋肉付きにくいタイプよ。」


「ワタシらが鍛えてあげようか?」


結構です!と断る勇気なんて無いよ。だって拒否ったらボコられそうだもん。顔色が悪くなるのを感じる


「ねぇ、顔色終わってるわよ。大丈夫」


「ホント泥みたいな顔よ。」


「大丈夫です…」


今はこう答えるのに必死だった、最強と呼ばれる2人に俺一人じゃ到底太刀打ち出来ない。噂ではこの夜の街を牛耳ってるらしいじゃないか、そんなのもやしっ子の俺は秒殺だ。


「アンタね嫌なこと嫌って言えずに、この仕事やってるわけ?死ぬよ」


「えっ、だって」


「だっても、さってもじゃないの!夜の店なんて来る客全員警戒しないといけないのよ。なんでも受け入れちゃぁ自分が持たない」


そんなキャバ嬢って奉仕することが仕事じゃないのか、客の言われるがままに接客するものじゃないのか?


「接客って、受け入れるのが大切と言うかなんというか」


「「んまぁ!」」


引かれた上に、今世紀最大のアホとまで言われてしまった。どうやら女装キャバ嬢と、二丁目では価値観が違うらしい。


「価値観の差ってやっぱあるんですねぇー」


「あら違うわよ、それ何言ってるの」


「この世に存在する全接客業の人たちが、該当するに決まってるじゃない。」


「ワタシらも昔酷い目に遭ったわよ、聞く?」


この話は興味があるので、聞いてみることにした。二丁目の方の話なんて滅多に聞けること無いし貴重な経験になりそうだ。


「みんな平等に接するなんて、不可能なのよ。こんな感じだから何言ってもいいみたいにされるなんて、酷い話でしょ。ワタシも昔は受け入れ勢だったのよ、なんでもハイハイってしてたんだけど、セクハラとかされだしてね。ヤメテねって言ったら逆上するじゃない。オカマの癖にとか難癖付けてくるのよ、わかるでしょーだから、嫌なことはなあなあで、受け流すんじゃなくてちゃんと嫌って言いなさいね。」


「まぁ、今回はワタシらだったから萎縮したのかもしれないけど。」


まさにそれです、怖かった。


「今度からは、頑張って断る勇気を持とうと思います。ありがとうございました。」


やっとバニーが終わる、早く脱がせてくれ。


「「ワタシらこの子好き〜、せーの!延長で〜」」


俺は二丁目の人たちは、やはり最強だと思いました。これからプロテイン生活が始まるらしいです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る