ロリコンおじさんと拳銃バカ

どこのヤクザ映画だよって思うぐらい、全員気性が荒くなってる。普段はお淑やかなあの人も、そんなに喋らないこの人も、みんな一斉に飛びかかった。

普段は女装することを強いられてるから、ここぞとばかりに爆発してるのだろうか。右を見ても左を見ても拳銃バカを探す目はまるで獣。


「くまなく探せ!探せ!こっちは店の売り上げがかかってるんじゃぃ!」


「あのアホがおったらなぁ、営業出来ひんのじゃあ!」


ほかの店はみんな大人しくしてるってのに、うちの店だけだこんなことしてるのって。


「リコちゃん、楽しんでる?割と私好きよ、この感じ。」


「能天気すぎじゃないですか?拳銃バカがその辺うろついてるんですよ!?」


「まぁ、大丈夫でしょ。見てみなよこの最強の布陣」


そうこの店の従業員は犯罪者予備軍。なので力自慢や筋肉自慢もたくさんいる。正直俺たちの出る幕は無いので楽しむ方に振り切った方がいいのは当たり前だ。


「ちょ!ちょっと何やってるんですか!お店の中に戻っ」


「警察さんのゆっくりした、捜索に付き合ってる暇とちゃうねんこっちは!」


「早う捕まえんかい!」


警察の人さえも圧倒してしまう、オーナーに内心ドン引きながらも安全圏から見守る。


「バキュン」


一発の銃声が鳴り響いた、一斉に飛びかかると思いきや一瞬にして張り詰めた空気になった。やっぱり本物の銃声は怖いんだ

しかし、全くもって緊張してる様子はこれっぽっちもない。


「ええか、息を合わせるんやチャンスは一回や」


何やら作戦会議中のようだ、むしろこっちがドキドキしてくる。


「学校でたまにある、謎の団結の時間って感じでチホは好きだなぁ。」


先輩も後輩もお気楽な人達ばかりだから、緊張が抜けるよ。ありがとう



「ウオオオオオオアアアアアアアアアアアアアーーーーーッッッッ!!!!!」


急に前に居たグループが雄叫びを上げて飛び出して行った、何が起こってるかは正直わかんないが、拳銃バカを見つけたに違いない。


「ケーサツや!ケーサツ!通報や」


どうやら捕まえたらしい、なんてパワフルでやりたい放題な店なんだ。


「ありがとうございます、まさか本当に捕まえるなんて」


「お安い御用や、ところでなちょっと相談があるんやが」


平和?が一応戻り一段落してる所だけど、今日はもう誰も来ないよなとみんな諦めモード。既に帰ろうとする人までいるし


「ギィィ」


ドアが開く音がした、振り返ってみるとそこにはスーツを着た男性が立っていた。この拳銃騒ぎがあった中でこの店に来るなんてなんて度胸があるんだと、ドン引きしてたら更に遊び方も凄かった。


「スゥゥゥ…」


彼は大きく息を吸うと


「今この店にいる子全員、指名で。」


「エェェェェ---!!」


全員の声が揃った。


なんでこんな事になってるんだ、本当に


「自分ケーサツやろ、やのにさ一般人が拳銃バカ捕まえたって聞いたら、自分クビかもしれへんで〜」


「そっそんな訳ないでしょ…」


「ウチの店で嬢全員指名するんやったら、手柄アンタに渡してもエエで。」


「今日はそんなにいい事がなかったので、もうたっくさん飲みます!最後までお付き合いよろしくお願いします!」

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