ロリコンおじさん励まされる

相変わらず酷い客の多いこと多いこと、俺たちをなんだと思ってるんだ。いい客も中にはいるが、大抵は最悪で話が通じない人が多い。


「チホちゃん、初っ端からえらい客に当たって災難だったね。こんな人ばっかりじゃないからね。」


「分かってるけどさ、でも俺アンタが悪く言われたのだいぶ腹たった。」


えっ、あれ本気で怒ってくれてたの?なんて健気なんだ生意気なクソガキから一気に成長して俺は感動だよ。


「だってさ、いっつもこんな俺を見捨てないで仲良くしてくれる人なんて居なかったし。前だったら別に怒んないし見捨てたし。」


「そうだったんだーありがとね。けど慣れてるから見た目が微妙ってイジリ。だから次からはそんな激怒しないでいいよ。」


なんやかんや心優しい子じゃないの、ヤンキーとかギャルとかは、義理人情に熱いみたいな感じなのかな。もしかしたら俺が出会ってきた人間の中で一番真っ直ぐで誠実な子かも。ちょっとヤンチャだけどそれも含めてチホちゃんだし。


「許したくねぇよ、なんかさ皆生きるためにいらん自己犠牲ばっかりしてて、俺見てて腹立つ。普通は嫌な事言われたらさ、嫌って言えばいいじゃん。意味わかんねぇ」


「そうだよ。そうなんだよ、君が正しい。だけどね今のこの世の中では、言われた事に歯向かう事が良しとされてないんだ。一度ブスって言われたら一生反論したらダメなんだ。」


「でもさぁ!俺はっ…」


「チホちゃんありがとう。気持ちは受け取るよ、世の中を渡り歩く術として身につけてるだけだから。本当は俺もセクハラ以外で可愛いとか、かっこいいとか言われたいに決まってる。けど今ここでは、こう言う運命だからさ。」


するとチホちゃんが嗚咽をあげながら、泣き始めた。


「なんでなんだよ、運命とか世の中とかさウザい。俺前にさアンタに、ブスって言ったの思い出した。接客してる時俺すっげえ嫌な気持ちになった。俺の友達悪く言うなって、親しくもないのに最悪って。だから謝りたいって、ずっと思ってた。」


「ごめんなさい。」


「いいよ〜そんな気にしてないし、友達だから出来るイジリもあるって事で、これからも仲良くしてね。」


「仲良くするー」


チホちゃんは、鼻水ズルズルで私に抱きついてきた。

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