ロリコンおじさんと社会人

「先輩この前言ってた子です。リコちゃん」


「じゃぁお前指名しろ」


そういえば今日は、アイツが上司を連れて店に来るって言ってたな。


「あれっ、リコちゃん今日気合い入ってるね〜どうしたの?」


「元同級生が上司と一緒にここに来て、指名してくれるらしいです。」


「あぁ前言ってた、ハズレ上司の人ね。何時くらいからって聞いてるの?」


「12時くらいって言ってましたけど」


「OK〜」


テルミさんはそのまま外へ出ていった、一体何しに行ったんだと思ったのもつかの間、直ぐに帰ってきた。


「ただいまぁ〜」


テルミさんは、コンビニの袋を持っていた。俺は自分用の夜食を買ってきたのかと思ったが、俺に何かをくれた。


「はいこれ〜、あとフォークね。」


俺に渡されたのは、ケーキだった。


「ケッ、ケーキ?なんでまた?」


「ありゃ、苦手だった?」


そんなことはないし寧ろ好きな部類に入るけど、なぜ今なのか。


「いや〜本当はホールケーキが良かったんだけどさ、やっぱり夜だからどこも無いね。ほら食べな」


「なんでケーキくれたんですか?」


「指名おめでとう記念かな、個人的にやってるんだけどね」


なんと優しい。そういえば新人じゃなくなって、初めて指名を貰えた。それでなのか


「お客さんは、フレッシュな人がやっぱり好きなんだよ。あと指名料も安いのよ、だから新人じゃなくなった途端にみんな指名しなくなるの。」


「この店は新人 上位穣 常連で店を回してるから、新人じゃなくなって指名が入らなくなった子たちは、直ぐに辞めちゃうし、指名される方が少ないの。だから元同級生のコネでも、指名された事が、嬉しくて嬉しくて。」


泣きそうになりながら語るテルミさんを見て、過去に色々あったんだろうなと胸が締め付けられそうになった。いつも明るく振舞ってる姿からは、想像出来ないほど真剣な表情で、一言一言噛み締めるように喋っていた。


「ありがとうございます。ケーキ好きなので嬉しいです!」


「いただきます」


甘い、長いこと食べてなかったから生クリームが胃に堪える。歳をとったな。けど、テルミさんがくれた事実だけで俺は何個でも食べれる気がした。


「イチゴもーらい」


「あぁ!一番美味しい所を!」


「取られたくなければ一番に、食べるべし〜」


少し子供っぽい所も含めて、俺はテルミさんが好きだ。

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