ロリコンおじさんバレる

「おっ、お前」


最悪だバレてしまったに違いない、これはいっその事暴露するしかないのか。


「黒服じゃないよ…な」


「あぁ、残念な事にな。」


こいつは口が軽いタイプじゃないので、まぁ問題ないだろと思いながら、喋る。


「えっと、女装してた側って事なのか?」


「そうだって言ったら、どうする。」


「そりゃびっくりするに決まってるだろ、だって知ってるヤツがあんな格好してるんだぜ!?」


当然の反応だろう、俺もきっとそうなるに違いないしな。


「だろうな」


「決してバカにしてるとか、気持ち悪いとかは思ってないからそこは安心して欲しい。」


これだから信頼できる。


「まだ、ロリコンやってんのか?」


「そうだ」


急に鋭い事を聞かれて動揺してしまう。ちなみにこいつも同類だ、小さい子が好き但し2次元限定だが。


「俺は日々の激務で、そんな気持ちにもならなくなったよ。あとちょくちょく周りが結婚して、子どもが出来たって話を聞くとどうもな。」


社会に出るってそういう事なのかと、人と日々関わると気持ちや心情にかなりの変化が現れるらしい。俺はお世辞にも社会との繋がりが無い世界で生きてる。だから、昔と変わらないのか


「けどな、好きな物が好きだってずっと言えてる、その感情が大切だって俺は思う。同級生は変わっていってるけど、一人くらい変わらないヤツがいたって、いいじゃねぇか。」


「ありがとうな、これで誇りを持ってロリコンを続けられるよ」


気持ち悪い事を言ってる自覚はある。ロリコンは誇りを持てるものじゃないし


「あとな、今日接客してたの俺だ。」


「えっ!」


「それでも、今度来た時指名してくれるか?」


我ながらだいぶ女々しい事をしてる自覚はある。けどなんだが不安になったんだ、人は衝撃的な話を聞いた後だと距離をとってしまうから。



「何言ってんだよ、余裕で指名入れるに決まってるだろ?現実であんなに可愛い子と喋れる機会なんて無いしな。」


「例えそれが男のお前でも、指名入れてたと思うぜ。まぁ慣れに越したことはないけどな。」


あぁ涙が出る。こんなにありがたい存在がいたなんて、どうして気づかなかったんだろう。心の中でずっと誰かに聞いて欲しかった、認めて欲しかった受け入れて欲しかった。

社会の異物の様な存在の俺が、初めて同業者以外で認められた瞬間だった。


「ありがとう…ありがとう…」


「何泣いてんだよ、俺なんかやらかしたか!?」


明日からも、頑張ってみるか。

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