ロリコンおじさん見つける

今日も気合い入れて頑張るぞ、最近新人期間が終わって指名してくれる人も減ってきたから特に今月からは頑張らないと、夢の女子指名が貰えないからな。


「リコちゃん、あの席に行って下さい。指名じゃないです」


「はーい」


指名じゃないってそんな言わなくてもいいじゃないか、こっちだって、プライドってヤツがあるんだぞ。さて今日はどんなお客か


「こんにちは〜リコでーす」


「ども」


案外普通の客だな、同世代くらいか。


「ここ初めてですか?」


「そうですねぇ」


コミュニケーションも比較的問題ないし、会話も成立してる。


「なんでこの店に来ようって思ったんですか?」


「予習的な感じですかね?今度上司と、ここに来るんですよ。だから雰囲気を掴むのと、練習を兼ねて」


嫌な上司だな、ロクに働いたことのない俺が言うのもなんだが、そいつ人間として終わりだぞ。


「そうなんですか〜、今度来た時は指名して下さいね。これ私の名刺です〜」


「ありがとうございます、じゃぁ俺のも」


割とちゃんとしたタイプの人なんだな、上司ガチャは大ハズレだけど。過去に名刺渡して来た客なんて金持ち自慢の社長か、大企業アピールするヤツばっかりだったぞ。


「なんのお仕事なんですか〜この会社名初めて聞きました〜」


「ですよね、小規模な会社なんで。」


所謂アットホームな会社ってヤツなのか、っていうか俺の同級生に同姓同名のヤツがいたな。オイオイまさか本人じゃないだろうな。


「不動産系の仕事なんですよ」


「そうなんですか〜全然わかんない世界です」


そういえば不動産会社内定してた同級生いたな、ヤバいぞ。そんなに関わりはなかったけど卒アルには立派に写ってるから特定されたら、社会的に終わるな。けど同姓同名の可能性だってあるし全然大丈夫だろ。


「リコさんでいいですか?」


「はぃ、じゃぁなんて呼んだらいいですか?」


「いやぁ、恥ずかしいので大丈夫です。あはは」


小心者かよ、けど助かった。女装した同級生があだ名で呼んでくるって結構な恐怖だもんな。


「お酒飲みましょうか」


「ありがとうございまーす」


「じゃぁかんぱーい」


俺は恋や緊張とはまた違うドキドキを今味わってる。頼む他人であってくれ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る