ロリコンおじさんと秘密
「今日の事は、君と俺との秘密って事にしてね。」
「なんでですか?」
「だって恥ずかしいじゃないか。男だってを明かさずに、後輩に助けられたなんて。」
そんな事ないのになと思いながらも、分かりましたとその場を後にしようとした。
「お礼をさせてくれないかな?」
むしろお礼をしたいのはこっちの方なのに、なんていい人なんだろうと感動した。
「俺の家だけど、いいかな?」
「喜んで!」
緊張しながら二人で歩いて帰る、まるで夢のようだ。数日前までは届かない存在だった人が、今自分の真横にいるなんてとんでもない話である。彼には可愛いとかそんな邪な感情は逆に湧かない。むしろプロ意識が高くて、尊敬に値するほどだ。
「そうだ、リコちゃん名前の由来聞いてもいい?」
「ロリコンから取って、リコです。」
うわぁー最悪だ。他の人に話す機会なんてないと思ってたのに、よりによってNo.1に喋ることになるなんで。
「そうなんだ、ちなみに俺は万引き。」
サラッと暴露していったが、だいぶ衝撃的だった。万引きって立派な犯罪じゃないか。
「あまりにもお金がない時にさ、魔が差して商品を取りそうになったんだよ、その時にオーナーに捕まってそのままこの店で働いてるって感じかな。」
亜紀ちゃんパパの、犯罪者レーダーどうなってるんだ。けど結果的に色んな人を救ってるから悪い活動では無いんだよな。
「俺はオーナーの娘さんをジロジロ見てたらそのまま捕まって連行って感じでした。」
マミさんはゲラゲラ笑ってくれた、今まで聞いたエピソードの中でも上位に食い込むほどのマヌケらしい。今考えたら本当にかっこ悪いよなと、自分がした行いがいかに愚かだったかを、考えさせられる。
「リコちゃん面白いね。柄にもなく大笑いしちゃったよ。こんなに笑ったの本当に久しぶりだ」
「お役に立ててよかったです。」
彼との晩酌はこれから始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます