カレン五世の物語 第7話
八百七十年二月四日
数か月前、ガブリエルが大公の暗殺を試みた時、
カレン五世はすぐにボカンに宣戦布告をした。
ガブリエルがボカン出身だったためだ。
しかし、これが馬鹿げた名分だということは誰もがわかっていた。
テネズ・シャロンの弟のベリー・ペルソナンティはなんの実権もない者だった。
彼が大公と呼ばれている理由は滅亡したヒストリアの王権承継者だったからだ。
カレンはアルマンティア大陸の半島地域を欲しがっていた。
それ以降は、それ以上の、アルマンティア大陸全体を統一する夢を見ていた。
そのため、八百六十一年に既にジャンバルソーの一部領土を手中に収めていた。
今すぐには、
カレンに匹敵する強大な帝国であるレス・ディマスに背を向けるのは難しかった。
しかし、アルマンティア大陸の中央を全て占有してしまえば、
レス・ディマスもやはり手中に収めることができるだろうと考えられた。
カレンの宣戦布告にヴィトゥルースはボカンと連合して、
即時にカレンの宣戦布告に立ち向かった。
キエンギルに対する支配権を拡大して西側と東側の植民地の航路を容易く作ろうとしていたレス・ディマスもやはり即時に参戦し、常にカレンと共にあったムジールもやはり参戦の意思を表明した。
まだ、帝国の輪が強固だった時代だった。
八百七十年二月四日、午前十一時、
ヴィトゥルースの北側の国境から砲声が鳴り響いた。
その日に実質的な戦闘が起こったのではなかったが、
その砲声はアルマン大戦の開始を知らせるものだった。
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