第123話 KGVI&QES 前編


 『イギリスアスコット競馬場で開催されますG1レース、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス。日本からは世界最強馬と呼び声が高い『地獄からの刺客』エンマダイオウが出走します。どのブックメーカーでも凱旋門賞二連覇のアンジュ、地元イギリスで約半世紀ぶりに誕生した三冠馬クルセイダーよりも人気が高いエンマダイオウ。引退イヤーの初戦ドバイでも圧勝を見せ、ここイギリスではどんなレースを見せてくれるのか』


 やっぱり全部で9頭は少ないよなぁ。

 こう、迫力がないっていうか…。

 たくさんで走った方が楽しいと思うんだよね。


 イギリスで競馬が人気じゃないって事もないだろうし。なんたって女王様が見に来るくらいだもん。やっぱりこのレースが人気ないんじゃないかな。


 出るレースを間違えたんじゃなかろうか。


 なんて事を思いながら滝さんに促されてゲートイン。


 『漆黒の馬体を輝かせ、大声援を浴びながらエンマダイオウがゲートイン。その後も各馬すんなりゲート入りが完了していきます。さあ、まもなく出走。最強の証明か、天使の反逆か、地元イギリス馬の意地か。第××回キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、今スタートしました!』


 俺は一番外側からのスタート。

 ゲートが開いてとりあえず飛び出したものの、少しスピードを落としてすぐにみんなの後ろに付く。


 逆に勢いよく飛び出したのは一番内側からスタートしたゴリアテだった。俺が気になってた馬だけど、逃げるタイプなのかな?


 っと、思ったけど勢いよく飛び出したのは最初だけで、騎手さんが抑えてるっぽい。先頭には立ってるものの、逃げてるって感じじゃないか。


 『さあ、レースを見ていきましょう。まずは先頭はゴリアテ。そのすぐ後ろにペンドラゴンが続きます。それからアンジュ、クルセイダー。エンマダイオウはいつも通り最後尾からの競馬になります。さあ、まもなく谷底のスウィンリー・ボトムを通過して、高低差約22mの上り坂を上がっていきます』


 むぅ。セーブしてても結構スピードが出るな。滝さんが言ってた通り、ここでしっかり制御出来てないと、ここから上り坂って言うし、後半しんどくなるかも。


 マジでなんでこんな作りにしたんだよ。


 『先頭は変わらずゴリアテ。リードは半馬身というところ。二番手は少し上がって来たクルセイダー。これは折り合いが少し悪いか?

少し掛かり気味に見えます。三番手にはペンドラゴン。そのすぐ後ろにはアンジュがどっしりと構えています。ここからは直線200mまで長い上り坂。パワーとスタミナスピードの全てが要求されるアスコット競馬場。騎手との折り合いも重要になってきます』


 え、しんど。

 マジでちゃんと上り坂じゃん。


 これって逃げる馬はしんどいんじゃないかなぁ。アイアイサーとか相性が悪そう。序盤に飛ばして疲れたら、後半地獄じゃんね。


 だからこのレースは誰も派手に逃げたりしてないんだろうか。


 いや、あいつならそれでも逃げまくりそうだなぁ。


 「エンマ。少し位置を上げるぞ。ペースが思ったより速い」


 アイアイサーが居ないレースでもあいつの事を思うなんて、俺はあいつが大好きだななんて思いながら、タッタカ走ってると、滝さんの手綱が少し緩む。


 どうやらレース展開が少し速いらしい。


 よく見たら一番前の奴がどんどこペースを上げて、それに釣られて全員ペースがおかしくなってるらしい。


 別に最終的にズドンと抜いてやれば、良いと思うんだけど、操縦は滝さんに任せてるし。


 指示通りとりあえず少しペースを上げますかね。


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 新作をアップしました。

 良かったら見てやって下さい。


 タイトルは『冒険者ギルドを作りました』です。

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