第104話 ちびっ子達と戯れ
「いけーっ! エンマ!」
「プヒヒン」 (はいはい)
何日か温泉を堪能して実家に戻ってきた。雪が積もって少し寒いけど、やっぱり帰ってきたーって感じがする。
で、少しゆっくりして、レースの疲れも完全に抜け切った頃。
ちびっ子が走ってる姿を写真で撮りたいって言うもんだから、せっせか走ってる。恐らくママさんのスマホだろうが、それを構えてパシャパシャと。
ちびっ子が納得いくまでひたすら往復してる訳だ。まあ、最近休みっぱなしで良い運動にはなってる。
「ペルナも頑張れー!」
「ブルルルッ」
先に帰ってたペルナは、俺が実家に戻って来て狂喜乱舞。牧場に出されてる間は俺から離れようとしない。なんか一月にすぐレースがあるらしいけど、ギリギリまでこの牧場にいるっぽい。
なんか前より懐かれてる気がするぜ。
そんなペルナもちびっ子の指示には当たり前のように従って、走って写真を撮られてる。
このちびっ子。もしかしたら良い調教師になるんじゃなかろうか。だって、牧場に居る馬は全員この子の言う事だけは聞くもん。
「プヒヒヒン?」 (頑張ってるか?)
「プヒュン」
俺やペルナより一回り小さい馬体。こいつも俺の弟である。俺ともペルナともパパンは違うみたいだけど。名前はテシャール。
どうやら、ママンはまた別のオス馬を誑かしたらしい。なんて魔性のメスなんだ。
この子は今の段階から結構優秀なところがあるらしい。
「プヒヒヒン」 (お肉にされないように頑張るんだぞ)
「プヒュン」
良く食べて良く寝て良く運動する。俺が居る間にこれを徹底して教えてやらないとな。俺は神様からチートをもらってるんだろうが、やっぱりこれをしてるから今の結果を出せてると思う。
人間の思考があって走り方を研究したりしてるってのもあるだろうけどね。
「テシャールはねぇ、もっとトントーンって走った方が良いよ! トントーンって!」
ちびっ子がなんか足踏みしながら、走り方を実演してくれている。普通に子供が遊んでるようにしか見えなくて可愛い。
「ほら、エンマ! 見せてあげて! トントーンって!」
「プヒヒヒヒン」 (俺にはその走り方が分からんのだが)
二足歩行で足踏みされても流石に理解出来ませんよ。とりあえずいつも通り走ってみせるけど。
「そうそれ! はい! テシャールも一緒に!」
あ、これで良かったんか。いつも通りの走り方をしただけなんだけど。
テシャールもテシャールで、ちびっ子に言われるがままに走って俺についてくる。
「そうそうその調子ー!」
ペルナも一緒についてきて3頭で走る。
ちびっ子はそれを見てご満悦だ。果たしてこの走りが本当にテシャールにとって正しいのか分からんが。
見た感じ走り辛そうにしてたりはしてない。ってか、特に変わった様子もない。ちびっ子は満足してるみたいだけど、何か変わったんだろうかね?
その後もちびっ子と戯れながら軽く運動してると、厩舎に戻る時間になった。
身体を綺麗にしてもらって、ご飯を食べて後は寝るだけだ。
充実した時間を過ごせたな。ちびっ子とも一緒に遊べて大満足。
そういえば俺の次のレースはなんなんだろうか? また海外に行くみたいな話は聞いたけど。
正直俺はもう海外とか面倒だから行かなくてもいいんだけどなぁ。アイアイサーとも戦えないしさ。
ずっとアイアイサーと競っていたいぜ。
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