第23話 《星の夢》亭

受付さんに聞いたところ大通りから少し外れたところにある《星の夢》亭という宿が比較的安価でサービスも良いとの事事だったのでその宿へ向かってみることにした。



ほのかな月明かりが暗闇を照らす街は、昼とはまた別の活気に覆われていてとても楽しそうだった。


そんな中をそそっと通り裏通りへと入っていく。


《星の夢》亭、、、あった。ここか

結構でけぇ、、、それに綺麗だな。もしかして結構取られるんじゃないか?

看板には銅貨50枚って書いてあるがほんとか?

余裕でそれ以上取られそうだな。と思いつつ

恐る恐る扉を開けると、、、


「いらっしゃい。こんな夜分までご苦労だねぇ」


出迎えてくれたのは40代ほどのふくよかなおばちゃんだった。


「すみません。今日泊まりたいんですけど部屋って空いてますか?」


「あぁ、空いているよ!おひとり様だね」


「代金は、、、」


俺の話を遮るように、代金は後払いだからね!と言って俺を2階の部屋へと案内してくれる。


「さぁここだよ。部屋にあるものは自由に使って構わないからね。

それと風呂と食堂は1階にあるよ。朝は必ず、食堂に顔見せにおいで。おばちゃんの特製料理をたらふく食わせてあげるよ。」


ありがとうございますと軽く会釈し

魔法鞄を備え付けの机に置く。

大体広さは6畳くらいだろうか?

ベッドがあって、机と椅子がある。後は大きめの窓とカンテラがあるくらいだろうか?


とにかく今は風呂だ!

風呂があるとわかった事実はでかいよな。ここ数日は森をさまよっていて正直体を洗いたかったんだ。


早速1階に降り、使用するための記入書を書いた俺は脱衣所に入った。


風呂とは言ったもののユニットバスの様に風呂とシャワーが一体化しており、浴槽は木製。

シャワーヘッドには 聖神具ハイヴェルクが取り付けられていた。

聖神具は魔法力を込めることによって特定の効果を得ることのできイリノレアス時代から利用されていて、

この世界では欠かす事の出来ないインフラとして利用されている。(らしい)


正直女神から貰った知識なので完璧に理解出来ているかはわかんねぇ。


この辺の知識も追々自分で調べるなりなんなりして、しっかりと把握しておきたいな。


女神から教えて貰った知識があると言っても

所詮それは与えられた物にすぎねぇしその情報が本当なのかさえ検討がつかねぇ。


多分子供と常識バトルしても負けそうだよな。今の俺。


シャワーヘッドを取り、ほんの少しの聖神力を込める。

それに呼応したように聖神具に六芒星の描かれた魔法陣が浮かび上がり、お湯が降り注ぐ。


「あぁぁぁ〜」


やっぱいいね。


それに前世のシャワーと違って自分の思い描いた温度が出てくるのだから、優れものすぎる。


ホテルとか初めに触る温度が低すぎたり高かったりで結構調整が大変なイメージあるし、ここはハイスペックだよなぁ。


聖神力が無ぇ人が使えないってのは不便だと思うがな。


一応公共のインフラ(水道関連や、街灯)は蓄電型や、大気中にある聖神力を利用して稼働するみたいだが、それは国の援助があるからこそできる芸当だろうな。


この聖神具、こんなちっぽけなのにも関わらず市場を横目で見た感じ自分で発動させるものしか売っていなかった。

更には銀貨5枚~銀貨80枚ほどは値段がしていた。

感覚的には銅貨1枚で100円、銅貨100枚=銀貨1枚だからな。


かなり高ぇ。


まぁ家電と同じような物と思えば妥当な値段か?


シャワーに聖神力を流すのをやめて

お湯を止める。


脱衣所にはタオルが完備されてあったので

それを使わせてもらって体を拭き、フモアーさんに貰った服に袖を通して自室に帰った。


転生してきてようやくゆっくり休めるのだ。


今は明日に備えて英気をしっかりと養おう。


ベッドに入ってから数分も経たないうちに俺は眠りについた。






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