第19話 契約書にサインして下さい。
「カルの串焼きはいかがー?」
「兄ちゃん!いい品が揃ってるよ。見ていかないか?」
す、すげぇ活気があってとても良い街だな。何よりその雰囲気が俺はとても好きだなと思いつつ
フモアーさんに教えて貰った冒険者ギルドへと到着した。
さぁ、入ってみるか。外見はよくある異世界モノの冒険者ギルドって感じだが、綺麗な外見に手入れが行き届いている花壇なんかあって、街の景観をそぐわないとても良い作りだ。
「入るか」
そう言って扉に手をかける。
カチャ
うおぉ広れぇな。中には一般的なファミレス程のスペースがあり、正面には受付、右手にはコルクボードのような所に紙が数枚貼っており、左手には飲食が可能のような場所がある。
夜になると酒場になるんだろうか?今は空いているな。
1人でいる筋肉質の男や、異世界って感じの服装をした4人組、2人組の女性冒険者等が見受けられた。
「兄ちゃん。冒険者ギルドは初めてか?」
と筋肉質の男が話しかけてくる。
スキンヘッドの頭に強面な顔。肩幅は俺の2倍位、背丈は、、、180はありそうだな。
身なりは一応服を着ているが筋肉が透け透だな。
これは異世界あるあるの絡まれるパターンか?
何事もなければいいが、、、
「はい。初めてですけど。」
「そうか冒険者登録ならそこの受付に行くんだな。後依頼を受けたいなら朝早くに来るこった。ウケのいい依頼は直ぐに取られちまうからな。」
えぇ見た目結構いかついのにめちゃ優しいじゃねぇか!絡まれるかと思って身構えちまった。
やっぱり治安がいいと感じたのは間違いでは無いのかもしれないな。
「そうなんですね。ありがとうございます。」
軽く会釈をして受付の方に行こうとすると
「まちな兄ちゃん、冒険者になるならそんな敬語は使わない方が良い。冒険者にとって舐められることは命取りになるからな。
この街の奴らは比較的温厚だが、、、他ではそうもいかねぇからな。まっ、なんかあったらこのB級冒険者であるガラン様を頼りな!ガハハ」
B級か、、、この筋肉、いやガランは結構強ぇんだな。
鑑定してみてぇ気持ちはあるが、、、辞めておこう。
ステータスは結構プライバシーな所もあるだろうし。何より他人のスマホの中身を勝手に見るのと変わんねぇだろうからな。
俺に敵意を向けているなら容赦なく使うが、初対面であんなに親切なガランに使う気にはなれなかった。
「じゃあガラン。登録してくるよ」
「おう。これからのお前の活躍に期待してるぜ。、、、間違っても無茶はするなよ?油断してると余裕で死ねるからな!ガハハ」
そう言ってガランは冒険者ギルドを出ていった。
いや、最後のは笑えねぇよ
そんなことを思いながら受付へと足を運ぶ。
身なりが整っていてとても綺麗な人だな。前世ならきっと女優間違いなしだろう。
「またガランさんお節介を焼いていたのねフフッ。っとようこそいらっしゃいました冒険者ギルドへ、本日は登録しにいらしたのですよね?」
「はい。」
「ではこの紙に、お名前と年齢の記入をお願いします。
それから下記のチェックマークへの記入もお願いしますね。」
そこには大体ではあるがこのような事が書いてあった。
その1 死亡や事故に対する条項
当ギルド又ギルド本部において依頼を受けた際の事故、死亡に関して一切責任を負わない。
ただし、ギルドの判断ミスにより適正ランクよりも高い依頼を受けてしまった際には当人に補填金を渡し、当人が死亡した際には遺族にその補填金を渡す。
その2守秘義務に対する条項
ギルド内で取り扱われる秘密裏な情報は外部には漏らさないこと。
ただ、こちら側だけではなくギルドでも個人の成績やランク等守秘義務があるものは守ることを保証してくれるらしい。
その3依頼の失敗、放棄に対する条項
その依頼の緊急性が高ければ高い程、依頼に失敗した際の罰は大きく人命が関わってくるほど違約金が発生する。
ただし当人が死亡している場合には違約金は発生せず、ギルド本部が責任を負う。
その4冒険者同士の争いに関する条項
冒険者同士の争いには基本的にギルドは関与しないが死亡事故が発生する場合や周囲に甚大な被害が発生する場合にはギルド本部が厳重な処罰を下す。
その5拘束についての条項
当ギルドでは冒険者の肉体的拘束及び精神的な拘束を行わず、基本的な冒険者の自由を約束する。
ただし、犯罪を犯した者や違法的に国境を跨いだ者にはギルド本部から厳重な処罰を下す。
etc.....
ざっくりとではあるが目を通してチェックマークに記入をする。
やはり、冒険者ギルドと言えども現実は現実。
高校生の俺には縁のない契約書の様な内容に少し頭を抱えつつ、前世に少し思いを馳せる。
今なら父さんの仕事を本気で誇れる気がするぜ、、
そうして受付さんに紙を渡してギルドカードを発行してもらう。
ちなみにプリンターの様な機械はなく魔法のような力で発行していた。
この世界では魔法技術が発展していると女神から聞いていたが
ホントに便利だな。
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