第9話 儚き骸の願い
とりあえずマイルドボアは邪魔になるので帰り道に拾って行くことにした
正直マイルドボアの死体に魔物とか集まったら嫌だなぁと思いつつ
今の俺ならなんとかなるだろうと謎の自信を胸に抱いてさらに西側に進む
「今日は魔物が多いな、、、」
急襲でスライムLv3と
片手間に、近場にいた
スライムLv2
スライムLv2
ゴブリンLv2
を討伐する
正直この間からかなり魔物を狩っているしそろそろレベルが上がっても可笑しくはないと思うのだが、、、
種族:ヒューマン(ラナリア)
名前日宮優慎
Lv2
生命力5
聖神力5/6
攻撃力21
防御力11
魔法力1
素早さ21
運0
う〜ん
やっぱ上がってねぇな、、、正直素寒貧のステータスポイント増加は嬉しいんだが
それ以上にバッドステータスの方がでけぇ
もし素寒貧がなかったら今頃レベルアップしていたのだろうか
いや、素早さのステータスが足りなくて
マイルドボアとの戦いで死んでいたかもしれねえし一概に悪いとは言えねぇな
日が最も登った頃俺は転生して初めて人間に出会った
いや、人間だったものと言った方が正しいだろうな
そこには杖と鞄を大事に抱えた魔法使いのような格好をした骸が穏やかに座りこんでいた。
足元には錆びたナイフの様な物が落ちている
ふと骸の手のひらに紙のようなものが挟まっているのが見えたため俺はそっと手に取り読んでみることにした。
私は愛しい我が子をほんの少しの過ちで殺してしまいました。
私は冒険者の身でありながら子供を授かってしまった。冒険者にとって子供を産むという行為は冒険者を引退することと同義であり、私は自らの手で我が子を、、、このグロウムの森に捨ておいた。
パーティーを組んでおり各地を旅していた私に、
冒険者を辞めて子育てをするという選択肢が思いつくはずもなく、当時はこれも冒険者ではよくあることだと割り切ってしまい
冒険の旅を再開しました
しかし1年の月日が経ち再び依頼でこの地を訪れたその時に、私はウルフキングがこのグロウムの森を席巻していることを知り
いても立っても居られなったのです
きっと
誰か街の人や衛兵が拾ってくれるだろうと思い
捨ておいた我が子の元には私に絶望を見せるかのように赤黒く変色した布切れが落ちていました。
私のこの感情が如何に身勝手であったのか、子供を捨てたのがどんなに悔やまれることだったのか
自分を抑えられなくなりました。
次の日には森の主を討伐して、この世をあの子と同じように森で去ろうと、、、この森で死ぬことを決意した私は
最後にせめてもの報いとして森の主を討伐しよう
そう誓いこの森の最深部を目指しました
しかしこの森は思っていたよりも深く、食料を補充しなければと、1度街へ戻ろうとした所を魔物に奇襲されてしまい
私はここで力尽きることにしました
この手紙を読んでいる貴方はきっと冒険者でしょう。
私が醜い人間であると蔑んで頂いても構いません。ですが、、、、、もし貴方がC級よりも上位であるのならこの森の主を討伐して頂きたい。
身勝手な我儘であることは承知しています。
当然私の遺品を全て貴方の物にして構いませんし、私の亡骸をどうしようと構いません。
ですから
どうか
どうか
私の無念を晴らしては頂けないでしょうか。
B級冒険者 シーラ
シーラさん、、、
確かに彼女の行ったことは許されねぇことかもしれない。
でも彼女には確かに愛があったはずだ。
その思い受け継がさせて貰う。
貴方の想いも
魂も
装備も
森の主、、、ウルフキングとらやの元に連れて行ってやる。
《霊樹の魔杖》
装備時攻撃力に20の補正 聖神力に30の補正
魔法力に50の補正
かつて精霊樹から作られた精霊の杖が長い時間をかけ聖神力を宿し続けたことで内包する魔力量が変化し耐久性や強度、魔力伝導率を肥大化させた杖
かつてからその杖には使用者の想いが宿ると言われている。
この杖にはシーラさんの想いが宿っているんだろうか?魔法力に50も補正が掛かるなんて相当な業物だろうし正直素寒貧な俺なんかが貰って良いとも思えねぇし
なんとしてでも彼女の遺言を果たさねぇとな、、、
彼女の手紙にはC級冒険者以上の人なら森の王を倒せると書いてあったが、、、今の俺はどうなんだろうか?レベルが2であることやウルフにすら及ばない事を考えると、遠く及ばないような気がする。
まぁ新しい目標が出来たってこったな!
そんなこんなで拠点に帰る前にシーラさんの骸を土に埋めてお墓を建てた。
この世界の埋葬の仕方がこれで合っているかは分からないが彼女も少しは安心できるだろう。
明日からは探索も良いがレベル上げやスキル習得を頑張っていかねぇとな
いつかくるであろう森の主との戦いに備えて
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