過去の残響編ー恋愛抑止機構ー

第31話 未来の犯罪者

 理学から説き明かす愛の抑止指令。

 蜂の女王の侵略を阻止せよ。

 官吏人TAKUは、昆虫学者の大学生に接近する。


主人公坂巻渉は、彼女から堕胎資金を迫られていて――……



生殖と愛。

未来のない蜂の女王の選んだ未来への決断は?



「私はすべてを捨てさせられる。だが、このままにしておくものかーーーーー」


 薄暗い部屋に時折虹色の尾びれが翻る。ネレイドは今日も水槽の中で麗しい姿を悠々と見せつけるかのようにたゆたっていた。監理人の目が優しく水槽の中の熱帯魚を追っている。


 ここはAIDMA機構内マリンミュージアム。


地球存亡の危機を回避するためには海底調査は欠かせない。ここはその深海魚や熱帯魚を保護している区域でもあり、静かな部屋にぐるりと取り巻くような360度の水槽はちょうどいい薄暗さだった。


「やはりここにいらしたのですね」


 声で振り返る。長いコートに長髪のシルエット。恋愛機構AIDMA監理人のTAKUである。


***



《恋愛機構AIDMA》――アイドマ――


AIDMAとは

1.Attention(注意)

2.Interest(関心)

3.Desire(欲求)

4.Memory(記憶)

5.Action(行動)

このうちAttentionを「認知段階」、

Interest、Desire、Memoryを「感情段階」、

Actionを「行動段階」と区別する。

愛には四種類の区分があるように人の行動や、未来も実は区分がある。

これは人間心理に入り込み、世界を操るフィジカルSF。


『criminal psychology』

クリミナル・サイコロジーの言葉が脳裏に響き始める。


〝犯罪者〟



(Yes, I'm the national level criminals.But, where is me, when,what will you have committed a crime -)


――そう、俺は国家レベルの犯罪者。



 どこで、いつ、どのような犯罪を犯したのか。俺は全て知っているんだ――

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