いけいけ勇者様68

最上司叉

第1話

「へっへっへっ今日も大儲けだ」


「ん?…」


ふと男が前を見ると街灯のところに誰か立っている。


男は気味悪く思いながら横を通り過ぎようとしたその瞬間誰かが青白い顔をしてヨダレを垂らしているのが見えた。


「ひっ…!」


男は怖くなり走り出そうとした。


「グ…へへ」


「ひぃ!」


男は一目散に走り出した。


【ザシュッ】


「え…」


男は一瞬何が起きたのか分からなかった。


【グニャ】


男の視界が歪む。


「グハッ!な…んだ?」


【ガブッ】


【ムシャムシャ】


「…」


男は誰かに食べられたのだった。


骨も残らずに。



そして数日後。


勇者はいつものように魔物退治に魔王と向かっていた。


勇者は機嫌が良かった。


魔王と仲直り出来たからだ。


街の中を歩いていると知り合いの店のおばちゃんに勇者は話しかけられた。


「ちょうどいいとこに来た」


「?」


「アンタに頼みたいことがあるんだよ」


「何かあったのか?」


「いやなにここ数日で4人が行方不明になってるのさ」


「!」


「みんな失踪するような人じゃないから誰かに攫われたんじゃないかと思うんだよ」


勇者は魔物退治をやめて話を聞くことにした。


居なくなった4人に共通点はなくみんな夜に出かけた日に帰って来なくなった。


その中には妊婦もいて近所の家にお裾分けに行ったまま帰って来なかったという。


明らかにおかしい。


4人共跡形もなく消えてしまうなんて。


何かしらの痕跡が残っていていいはずだ。


勇者は新たな敵が来たのかと考えはじめていた。


4人が行方不明になった場所に共通点はない。


勇者はとりあえず夜街を見回ることにした。


そしてなんの収穫がないまま3日が経とうとしていた。


勇者は夜の街を見回りながら今日も収穫無しかと諦めかけたその時街灯のところに誰か立っているのが見えた。


「…」


勇者はその誰かが普通の人とは違うと気配で察知する。


勇者は黙ったまま剣を抜く。


「グ…へへ」


勇者と誰かの戦いが始まろうとしていた。


「!」


【キィン】


誰かが立っていた場所から消え勇者の目の前に一瞬できている。


【カンッキンッ】


【シュバッ】


誰かの動きは勇者の予想より速かったが勇者の敵では無い。


誰かの腕を勇者が剣で切りつけた。


「グ…へへ」


誰かは痛みを感じないようだ。


「…」


【シュバッ】


【キンッキンッ】


【ザシュッ】


勇者は誰かの腹を剣で貫いた。


もう終わりだと勇者が思っていたら誰かが勇者の顔を手で物凄い力で掴んできた。


【ザシュッ】


【スパッ】


勇者は誰かの腹から剣を抜くと腕を切り落とした。


「グ…へへ」


まだ戦いは終わらないらしい。


「トドメだ!」


【スパッ】


勇者は誰かの首を切り落とした。


そしてようやく決着がついたと勇者は思った。


勇者が誰かの死体に背を向けて警備兵を呼びに行こうとした瞬間後ろで何かが動く気配がした。


「!」


勇者は慌てて振り返ると逃げていく化け物の姿を一瞬確認しただけだった。


勇者は化け物がまた人を襲いに来ると考えていた。


街の警備を強化するよう王様に頼みに行くことにした。

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