異世界転生8 吉とでるか凶とでるか 何事も頼んでみるに限る チートも貰えて美人確定 でもヌルゲーなんて言わせない 今度はきっと楽しめる(合同新人実践訓練)

明けの明星

第1話

side ヒロイン


 みんなと森の外周部分まで来た。やっぱり!去年も思ったけれどこの時期は魔獣が増えるみたい。


 去年は異世界転生したばかりで、まだ無一文だったから森で冬越ししたんだったな。ひと冬まるまるずっと森のなかで1人で暮らした。


 まぁ春から秋まで準備期間があったから良かったけれども、独り言が増えたし、チートはあっても鍛えないとレベルは上がらないから頑張って訓練したんだったなぁ。


 採取した果実や木の実や野草の料理も上達したし。そりゃそうだ、1日3食手作りし、保存食にも挑戦し、塩しか手元になかったから香辛料の代わりにいろいろな香草や薬草にも詳しくなった。


 なにしろわたしには鑑定がある!毎日毎日鑑定を使いまくったよ!そもそも現代でもあまりいちから料理なんてしてなかったのに、獲物を狩って解体するところからやらないといけないなんて。


 魔法がなければそうそうに詰んでいた!魔力量が多くて本当に助かったよ。なにしろ♾️だもの、いいでしょう!羨ましいか?ハッハッハッ!


 って、誰に言っているのだろう?とはいえ、レベル1からだから、試行錯誤のオンパレード、ちょっとした失敗くらい当たり前の日々、火力が強すぎてお肉が焦げたりしても無駄にできないからちゃんと食べたよ(涙)


 わたしがすごいところは、ちょっとは失敗するけれども食べられないほど酷いものにはならないところだろう。


 よくネタにでてくる、レシピ通りに作ってもナゾの物体になってしまうアレである。


 幸い、あまり美味しくないなぁと思いながらも完食できる。食べる物に困らないのは幸せなことだ。


 ただ、アイテムボックスがなければさすがのわたしも、1日3食お肉の日々に根を上げたことだろう。獲物は大物の場合もあり、ありがたいことに肉がかなりとれる。訓練のために魔法を使い続けるわけでどんどんお肉が手元に増えていく。腐らせないために食べ続けるエンドレスな日々というわけだ。アイテムボックスありがとう。おかげで食べる物はたくさん確保してある。


 そう!わたしはアイテムボックスも女神さまからいただいた。ありがとうございます、女神さま。しかもお約束の容量無限、時間経過なしの最高のやつである。おかげで保存食作りはまさに貯めるだけですんだ。


 冬でも収穫した新鮮な葉物類や果物とか食べられるし、どんどん狩りをして、ひたすら解体してアイテムボックスへ。魔法でごり押しする解体もだいぶ上手くなったよ。


 本当は街に行ってギルドで冒険者になって、ちゃんとした解体の仕方とか教わったり、わたしが採取した物を買い取ってもらったりしたい。


 でも街に入るにはお金がかかるのだ。街の近くまで行って調べたのだが、身分証がないともっとお金がかかってしまう。その身分証からしてわたしにはない。ギルドに登録して手に入れようと思っているが、そのためにもお金が必要でどうやったら森の中で金策できるのか悩む日々を過ごしていた。


 その間も休んでなんていられない。なにかあったら即「死」の毎日。生活魔法を使いまくり生活空間の洞穴をできる限り過ごしやすくしたり、狩りのときは魔法を訓練。


 火魔法、水魔法、土魔法、風魔法、植物魔法、氷魔法、雷魔法、光魔法、闇魔法、とにかく日替わりで鍛え続けた。


 はじめはどうしてもグロくなりがちだったが、そこをなんとかならないか研究してみた。血が1番困るよね。でも鑑定すると、素材になるようで捨てるのは勿体無いと考えてできたのが吸血魔法!ハッハッハッ!何言ってんだと思うよね。馬鹿みたいかな?でもね、食べるためにも血抜きするんだよ。魔獣一頭分の血抜きなんて、血生臭くてかなわないの!


 水魔法の応用で相手の水分を一気に外に排出し、土魔法で作った瓶にいれて、風魔法の応用の空気を抜く!で密閉してアイテムボックスへ。これで傷ひとつつけずに完了だ。ねっ!すごいよね!すごいよ、わたし!


 でもこれ、とっても理にかなっているってわたしは思うけれど、なんとなく誰も賛成してくれない気がする。


 いいの、考えて試したことが一応成果があったんだし、おかけで、解体が少し楽になったものだ。それで少しつづ自分でも鑑定を頼りにところどころ手でやってみたりするようになったのでグロにも少し耐性がついた。


 実は、この吸血魔法もはじめは失敗したりした。まぁ当然だね、それで干からび過ぎたり。だからこの魔法も頑張って加減を覚えた。訓練の成果か魔法制御は上手くなったよ、すごく。


 ハッ!いけない、感慨に耽り過ぎた。まぁとにかく森にどうやら獲物が多くなる時期だから冬支度に丁度いいという話である。あれっ?


 とにかくこれでも一応下調べしたんだよ。みんなを連れてくるんだから、万が一がないようにしたい。ギルマスたちと訓練の打ち合わせしたり、例年の魔獣討伐状況を確認して種類や数、討伐分布の傾向を分析した。


 ギルドの把握している状況と、事前にわたしも森を気配探査で確認し、実際の分布や数と照らし合わせて今日どれくらい狩るか決めてある。


 森からの追い出す勢子役はわたしがやればいいし調整もする。わたしの考えた通りに進めば、三段階の狩が成立して例年のことらしいが討伐が楽になるはずなのだ。


 現地に到着したので、各自準備して陣形を整えて待機してもらう。わたしが離れるのでギルドの監督役の人たちや若鳥たちに、きちんと雛鳥たちを見ていてもらう。


 side ある騎士団長???


 討伐がいよいよ始まった。雛鳥たち新人冒険者たちが隊列を組み陣形を整えて待つ。それぞれ手に武器を構え、魔法を使う者たちもいつでも魔法を発動できるように準備している。まだ新人で詠唱や発動に時間がかかるためか、三段構えで待機している。考えているのは確かで、ただ実戦は思った通りにいくとは限らないから大変なのだ。それを彼らはこれから学ぶことになる。


 「ゴブリンがいくぞー!」と、声がかかる。


 見れば森からいよいよゴブリンたちが出て来た。緊張の瞬間でこれが乗り切れるかがまず関門となる。


 雛鳥たちは総勢750人はいる。だいたい4人1組だ。今回は、魔法を使う者たちを別働隊として配置していて、4人は前衛や中衛やタンクで構成されている。


 だいたい160組ほど。まず森から出て来たゴブリンが100くらい。最初の衝突だ。初撃が通るか後方で見ていてつい力が入ってしまう。


 一匹を1組で担当していく。まず前衛の者が定石通りに斬りつける。ゴブリンの攻撃は、タンクや中衛の者が盾になったりして防いでいる。前衛の者は落ち着いて首を狙っていく。


 子供だからゴブリンと背丈に差があまりなく、そのため首は狙いやすい部位なのだろう。


 他の組では、左右同時にゴブリンの腕を斬り飛ばして、大地に押し倒し頭を落としている。首を狙った組も足を中衛の者が縫い止め、首を切り落とすことに成功している。


 大部分の組全てで、第一陣のゴブリンは狩り終わっていた。一分もかかっていないと思われる。焦って無駄に斬りつけることもなく、余分に力を消耗している感じもない。まぁ始まったばかりだしな。


 「つぎのゴブリンが行くぞー!」と、また声がかかる。


 つぎのゴブリンは150ほど。これも魔法の出番なく討伐。つぎは200!大丈夫か?


 まだ距離がある中、魔法を使う者たちがゴブリンを前後に分断する。その間にまずゴブリンを狩りとり、後方の取り残されたゴブリンを屠る。


 「つぎも200だ、準備しろー!」

 

 同じように数が多い時は魔法で分断し足止め、且つゴブリンを攻撃して消耗させることで前衛、中衛の負担を軽減。敵の供給が完全にコントロールされているからこそだが、ほぼ5分単位で戦闘している。


 「つぎは300だ、気を抜くなー!」

 「武器に毒が塗ってあるかもしれないぞー!」


 はじめの戦闘の後は間隔が10分から5分になった。戦闘は80分ほど続いた。ゴブリンのなかにもアーチャーやマジシャンなども含まれていたが、子供たちは終始落ち着いて連携していた。


 子供たちだけで討伐した数が3000を超えた頃。


 「新人の実戦訓練はここまで!これより若手冒険者対象で掃討戦に移行!」


 すごい!これは…彼らはすごい!


 まさか短期間でこんなに成長しているとは!3000という数字は、多いわけではない。彼らは800人近くいるから1人あたりゴブリン4匹。しかし闘いの要素とは多数ある。そのひとつは継戦能力。緊張感を保ち、長時間の戦闘に持ち堪えら能力だ。


 彼らは確実に成長している!

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