第19話
(AI)
「じゃあ、行くのか?神界に。」
「うん、行くよ。」
「そうか。じゃあ行こう」
そう言って俺は外へ出た。そしてそこにあったのは……真っ白な世界だった。
(いや、よく見たら違うな……これは『空』か)
そこは俺が今までに見たことのないような場所だった。
そんな光景を眺めていると、日比野が起きてきたらしい。
「おはよう茅くん……あれ?何やってんの?」
「日比野か
(俺)
……なあ、ここはどういう状態なんだ?」
「俺に聞くなよ……それに、詳しいやつがいるだろ。」
…そうだったな。
「九条さん、これは?」
「この扉は夜にしか開かないんだ。」
なるほど、つまりこれは神界とこの世界の狭間的な場所なのか。
(AI)
「さあ、行くよ。」
そして俺たちは神界へ入っていった。
◆◆◆
(ここが……神界?)
その景色は、俺たちの世界とはかけ離れていた。
(それに……何だあの『巨大な城』は……)
そこは現実世界とは明らかに違う場所だった。
「……茅くん、日比野くん。ここから先は少し厳しいかもしれないわ。」
そんな九条の声に俺たちが振り向くと――そこには九条の他にもう一人いた。
(俺)
「よう、久しぶりだな。」
「久しぶり、あの城は何?ハリボテ?」
「そうだよ、ハリボテだ。」
あまりにも自然に話しかけるものだから元々そこに居たかのように思えてしまうその男は――
「自己紹介しようか。俺が守野歩……神様、らしいよ。」
「じゃ、話し合いから行こう。私は神連棗だ。単刀直入に言うが、この世界をコントロールするのを諦めてくれないか?」
「嫌だね、俺は皆が幸せであってほしいんだ。前の神とは違うんだよ。」
「その皆の中に、自分は入ってないんだね。」
「………」
(AI)
守野歩は黙り込んだ。
「で、どうして
(俺)
お前がここにいる?」
「ああ、そうだった。君たちを……神界から追い出そうと思ってね」
(AI)
「……!?」
そんな衝撃の一言とともに、守野歩は剣をふるう。
俺はとっさに避けたが日比野と九条さんは?
「おりゃ!」
そんな声とともに九条さんは何かを投げた……あれは……手榴弾!?
(まじか!?)
そんな思いが通じたのか、日比野が『テレポート』を使いながら俺に叫ぶ。
「危ないから伏せろ!」
その瞬間、手榴弾が爆発した……が、
(煙が……)
そこには無傷の日比野と九条さんが居た。
(そうか!さっきのテレポートか!)
そして守野歩はと言うと……
(俺)
「何で抵抗するんだよ……抵抗しなきゃ、お前らは全部忘れて幸せに暮らせるんだよ!!」
こっちも無傷だった。
(AI)
(もしアイツが本気で殺しに来たら……)
そんな考えが頭に浮かんだとき、九条さんは言った。
「私は、お前とは違う。」
「……っ!」
「確かに私たちは人の命を救っているかもしれない。でも!それでも、全てを救いたいの!!」
その言葉を聞いた守野歩は笑い出した。そしてこう言ったのだ。
「それは偽善だ」と。
(俺)
「いいや違うな、偽善なのはそっちの方だろう?」
(AI)
「っ!!……それは、どういう……」
「だってそうでしょ?
(俺)
守野くんは自分の事を全く考えてない。それは美しい善行かも知れないけど、正しい善行じゃない。そんなの偽者の善意だよ。」
守野歩は俯く。
そう、これで終わるはずだった。
「あ、あの――」
そう。
「喧嘩は、駄目だと思います」
俺の妹が、そこに居た。
「――っ」
そして、殺された。
「……悪いな。今は痛いだろうが、これも忘れるんだ。我慢してくれ」
「凛」
そこには既に、春乃凛はいなかった。だってそこにあったのは、春乃凛だったものだからだ。
そこに魂は、存在しない。
「守野歩――!!!」
叫んだ。
「落ち着け。」
そして、乱入者によって止められた。
「あなたは……!!」
「ああ、君波に呼ばれたんでな。こいつが俺の組織に入ったときの契約に『お願いは絶対に聞いてね』なんてアホみたいな条件があったから……仕方なく来てやったよ。」
「忽之景斗、君波音留、参上!!って感じかな!」
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