第18話
(俺)
「はッ…初めまして……。」
「やっぱり君だけだったか、篠宮莉緒。」
「そうだよ。最後の一人、ではないけど。」
最後の一人、ってことは少なくとも2人より多い人数は居たっぽいな。
「その言い方じゃ、ちゃんと私の頼みは聞いてくれたらしいな。」
「おかげで組織のメンバーは私と棗ちゃん、そして日比野くんだけになっちゃったけどね。」
この『棗ちゃん』というのは、つまり九条棗のことだろう。
「で、九条棗の居場所は知ってるのか?」
「…うん、知ってるよ。私は基本何でも知ってるさ、知らないこと以外は。」
「じゃあ教えてくれ」
(AI)
「いいとも。」
そう言って、少女は話しだした。
「九条棗はね、
(俺)
この世界の一番神に近い所にいる。」
「いや、それどこだよ……」
「なるほど、そう言うことか……まあ、準神様なんだから当たり前か。」
なんか納得してる!!
「……で、結局その『この世界の一番神に近い所』ってのは一体どこなんだよ?」
「この世界で最も神に近い場所は、つまり
(AI)
世界の中心。」
「なら、九条棗が居るのは――中央教会だね。」
◆◆◆
『中央教会』とは、この世界の中心部に存在する世界最大の建物
(俺)
らしい。
そこに俺と日比野の男子陣は向かうことになった。ちなみに女子陣は篠宮莉緒を安全な場所へ送り届けているらしい。
(AI)
その入り口の前に俺と日比野は立っていた。
「……なあ、本当にここに入るのか?」
「ああ」
「マジで死ぬかもしれないぞ?流石に命までは保証出来ないぜ?」
確かにその通りだ。でも……
(大丈夫な気がすんだよなあ)
「……まあ良いや、行こう」
「ああ」
俺たちは、その建物の中へ入っていった。
◆◆◆
中は、現実離れした光景だった。
いや、『現実離れ』なんて言葉じゃ収まらない。本当に『神々しい』と言うべき場所だった。
(これは……何なんだ?)
(……教会と言うよりは神殿だな)
「ようこそ私のテリトリーへ」
そしてそこに居たのは九条棗本人。そして、
(俺)
そこにあったのは――
「扉…?」
「そう、扉です。神界につづく、ね。」
「……九条棗、でいいんだよな?」
日比野が言う。
「そう、私が九条棗よ。」
「……なあ。あんた神を――守野歩を殺そうとしてるんだろ?」
「うん、私は彼を殺そうとしてる。」
だったら……。
「だったら目的は同じだ、協力しよう。」
(AI)
「へぇ、良いの?神を殺す手伝いをしてくれるなんて、君たちって相当変わってるね。」
「ああ」
その返事に棗は少し驚いたような表情を浮かべる。
「あなた……茅くんだっけ。私に会ったことある?」
「……いいや?多分無いと思うけど?」
日比野が不思議そうな表情でこちらを見たので軽くアイコンタクトを送っておく。
(棗のことを知っているやつはできるだけ少ない方が良いだろう)
(なるほどな)
そんなことを考えていると、九条が口を開いた。
「まあいいわ。とにかく、神を殺そうとしているのは私だけじゃないってことね。」
「ああ、そうだ。」
「じゃあ協力しましょう。仲間は多い方がいいものね。」
「なあ、守野歩ってどんなやつなんだ?」
「さあね?私も正直彼のことは知らないの。でも……」
「でも?」
「彼は、神を殺しうる力を持っている……それだけは確かよ。」
(俺)
「神本人なのに、か?」
「ええ、そうよ。」
俺が最も危惧していること、それは守野歩に――神に負けることだ。
大事なのは勝てるのかどうか、それである。
「なあ、その…守野歩には、勝てるのか?」
(AI)
「分からないわ。でも、勝たなければいけないのよ。」
「……そうか。」
◆◆◆
九条と協力関係になった俺たちは、ここでしばらく泊まることになったらしい。
なんでも『神界』とやらはここからだと少し遠いんだとか……。まあ、現実世界で言うところの『栃木』くらいらしいが。
「神界に行ったらまず何すればいいんだろうな……」
(正直俺も分かんないんだよなぁ)
そんなことを考えているうちに日比野は眠りについてしまったようだ……今何時だろ
(俺)
うか。
「お、茅くんおつかれ~」
「来ましたか、棗――神連さん。」
「…あ、私のことか。」
違和感のある沈黙が流れた。
「お前、『神連棗』じゃないだろ」
「え!?い、嫌だな……私は棗だよ?『神連棗』。」
「偽者だとかそういう意味じゃない。『神連棗』って名前は、偽名なんだろ?」
九条棗、棗と書いていつきと読む少女。
そんな少女が偶然二人もいるわけがないと思っていた。いや、名前だけなら偶然もありえるだろう。しかし今の反応、これは確実におかしい。
「お前、本当の名前は何なんだ?」
(AI)
「……はぁー。流石だね茅くん、大正解だよ。」
「お前の目的は?」
(俺)
「目的なんて無いよ。ただ私は、守野くんのところに君たちを届けてあげたいだけ。それが私にできる精一杯だからさ。」
「……まあ、悪意はないんだな。で、名前は何なんだ?」
「私の名前は――本当の名前は、神懸翼よ。と言っても、前世のことだけどね。」
前世…?
「神連棗は2回目の人生なんだ。私が神懸翼だった時の能力は『引継』だったからね。来世に記憶を引き継げたんだよ。」
彼女は続ける。
「私は彼に助けられたんだ。だから私も、彼を助けてあげたい。」
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