(AI) 3章『運命の夜』
第16話
(俺)
「で、その守野歩を探すためには……どうしたら良いんだ?」
俺は棗に――神連棗に聞く。
「まずは『運命』を見つけ出すしかないかな。」
「運命を見つけ出すって……浪漫的なこと言ってる場合じゃないでしょ。」
「いやいや、私は運命なんて概念を見つけようとしてるんじゃないよ。『運命』の神声者――神に最も近い存在、九条棗を見つけ出すんだ。」
「九条棗……?」
「そう。九条棗。彼女は前回の記憶を持っている。」
前回…?
訳の分からない単語が多くて混乱する。
「要はその――九条棗を見つけ出せば良いんだろ!?」
(AI)
「まあね。でも……流石にそれは厳しいと思う。」
「ならどうすればいいんだ?」
俺は、凛の核心に迫るような話に思わず問い詰めるような口調になっていたが、それでも彼女は顔色一つ変えずに言った。
「……彼女を先に見つけるのは無理だと思うから、
(俺)
まず真っ先に見つけるべきなのは白石悠里と篠宮莉緒という二人の少女だ。」
「何でだ?」
「簡単だよ、その二人が純正の人間の中で唯一前回の記憶を持っているからさ。」
(え、前回の記憶持ってるやつ多くない?)
心のなかでほんのりとツッコんだ。
「いやいや、人間ではその二人だけだし、神様も今は守野くんしか居ないから前回の記憶を持ってるのは多くても5人だけだよ」
「お前はエスパーか!?」
(AI)
「ふふっ、やっぱりわかりやすいなぁ」
「で、その二人を先に見つける理由は?」
「まず白石悠里、
(俺)
彼女は無尽蔵の生命力を持っている。ただまあ、この子は不老不死じゃないからね。生きてるかどうかは微妙。本命は篠宮莉緒だ。」
なるほど、要はそれも神声者とかいうやつのことか。
「で、篠宮莉緒って子の方は?」
「彼女は人の命を喰らうことで不老不死になれる。つまり、彼女が白石悠里の命を喰らうことが出来ていたのならば、彼女は前回の記憶を保持したままこの世界で生き続けていることになる。」
「なるほど、要は死んでないから覚えてるって話か。」
「そゆこと」
だいぶ軽い口調の棗に俺は
(AI)
イラっとしたが、それは心の中にしまっておいた。
(俺)
「でも、どうやって生きてたんだよ。世界ごと壊されたらいくら不老不死とはいえ生きれないだろ」
「そこで出てくるのが、件有多くんさ。彼は具現化の能力――『創造』で世界とは隔離された空間を作ることに成功したのさ。そしてそこに二人を避難させて、世界はリセットされた。ってところかな」
はあ、とかなるほど、とかしか言えない俺に少し罪悪感的な何かを覚える。
「前の世界には組織があったらしくてね……その組織のメンバーを集めることが、今後――というより、明日までの目標かな。」
「明日までって……」
無理なスケジュールに呆然とする俺はそのとき、一つの疑問にたどり着いた。
「何でお前は、それを覚えてるんだ?」
「……気づいちゃった?」
(AI)
そう言って棗は笑う。しかし、その笑みはすぐに消え去り、真剣な表情で続けた。
「それは……私が
(俺)
『遡行』の神声者だからだよ。
と。
◆◆◆
話によると、彼女は時間遡行を繰り返すことで情報を集めたのだという。
「何回も守野くんを止めようとしたんだけどね。私そういうの下手くそだったから。」
なんてことを悲しげな表情で言った棗に、俺は何も言えなかった。
(AI)
しかし棗はそんな俺を見て、「でも」と続ける。
「でも、今度は大丈夫。今度こそ守り抜くから。」
その言葉には決意が込められていた。
(俺)
「あーっ!!お兄ちゃん居た!!」
「は!?凛――」
振り返ろううとした瞬間に飛び蹴りを喰らい、倒れたところを押さえつけられた。
「また約束すっぽかしやがって……しかもナンパか!お姉さん、大丈夫ですか?何もされてませんか?」
「……いた。」
「ちょっ……違う、違うって…!棗さん…説明してやってくださいよ!」
「ずっと分からなかった。何故時間遡行によるループの中、茅くん――春乃茅だけが違う動きをしていたのか…なるほど。春乃凛、あなただったのね。」
何を訳のわからないことを言っているんだ…!?
――『変化』の神声者――来瀬詠歌の後継者は、春乃凛だった……!!
そんな事を言っていた。
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