第X話

(俺)

「なるほど、ここが俗に言う天国ってやつか。」

 神はそう言った。

「……いや、ここは『天獄』っていうところらしいよ。」

 少女は神に応えた。

「……棗さんか。」

「そうだよ、守野くん。」

 棗――九条棗は、話し続ける。

「ねえ、守野くんは今…神様なんでしょ?」

「…そういうことに、なるかな。」


(AI)

 守野は歯切れ悪くそう答えた。

「でさ、神になった守野くんは……どうして天獄にいるの?」

「それは……」

 棗の言葉に、守野が口をつぐむ。

「ねえ、答えてよ」

 棗は催促するようにそう言った。しかし一向に彼は答えようとしない。痺れを切らしたのか、彼女は自分から話し出した。

「もしかして――神様になったら何かしなきゃいけないのかな?」

「……」

 彼は何も答えなかったが、それが何よりも肯定を示していたのだった。


(俺)

「わかった」

「…何が?」

「守野くんは……世界を作り直すつもり、なんでしょ?」

「そうだな、そうなる。」

「だったら――」

 九条棗は決意する。

「私があなたを殺しに行く。だから、待ってて。」

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