第9話

(俺)

俺が勇者召喚を止めるために打った布石。

それは簡単に言えば、能力の確認である。要は未来の改変と未来予知の可不可だ。

未来予知に関してはすぐに判断できた。問題は、未来の改変だったのだが、それは『コンビニでの行動』で可能であるとわかった。コンビニ店員の『注文を聞く』という行動は改変によるものだったというわけだ。

「でも神様がいるなんて聞いてないぞ…!」

それに何故この宇宙人の名前をいきなり思い出したのかも謎だ。面識はなかったはずなのに。

「勇者召喚を止める方法、それはあの神様を『殺す』ことだよ。」

「殺すって……あれをかよ!?」


(AI)

「そう、あれを。」

そこには巨大な生物がいた。それはまるで――

(機械の龍……!?)

その龍は町を破壊しながら進んでいく。それをただ見ていることしかできなかった俺は『逆転』という能力を使った。そしてその龍が俺の体に入った。

だが次の瞬間、俺の体はバラバラになったのだった。




(俺)

「大丈夫。あなたと、そして私は『神意者』。つまりあなたも私も神様と同じ力を持ってるの。」

バラバラ担ったはずの身体がもとに戻っていた。

「…神様と同じ力!?」

「そ、それが2人。勝てそうじゃない?」

「だからって……」

無理だ、不可能だ。

そんな事を考えてしまう自分に呆れる。

「いや、殺るしかないんだよな。」

俺は立ち上がった

「いいね、一緒に殺そう。」


(AI)

神懸も立ち上がる。

「さて、あの龍を殺して


(俺)

世界を救おうか!」

こうして俺は神を殺すことになったのだった。




(AI)

(くそ……!どうすりゃあ良いんだよ!)

考えた結果がこれだ。全くわからないのだ。


(俺)

戦うと決心したはいいものの、戦い方がわからない。


(AI)

そうして悩んでいると、教室の窓から大きな音がした。

「なんだ!?」

外を見ると、巨大な龍がこちらを覗いていた。

そして口を開く。

(なんか……ビームとか出しそうだな……!!)

もう駄目かと思われたその時だった。教室の壁が崩れ落ち、そこから金髪の少女が現れる。その少女は大きな鎌を持っていた。

「はあ……めんどくさいなあ……」


(俺)

その金髪の少女は怠そうに言う。

「お前は…!?」

「あなたを、いいえ。あなた達神意者を殺しに来ました。『天使』です。」


(AI)

「天使……?」

俺は目の前の少女が何を言っているのかわからなかった。

(それに、さっき俺を殺すとか言わなかったか……?)

「まあ、良いや。」

そんな呟きが聞こえた直後だった。金髪の少女が神懸に斬りかかったのだ。そして鎌が神懸を斬る――瞬間、神懸は消えた。


(俺)

「え……?」

「私が彼女を殺しました。」

神懸が、死んだ?

「お前が、殺したのか?」

「はい。」

死んだ?

殺した?

「……けんな」

「どうかしましたか――」

「ふざけんな!!天使なんだろうが、人間を大切にしろよ!!」

天使と名乗る少女は首を傾げて言った。

「あなた達はもう既に『人』ではありませんけど」

(……!)

自分勝手な怒りであることはわかっていた。

しかし、怒りのほうが勝ったらしい。

「ぶっ殺す。」

神――つまり龍と天使は即座に地面に叩きつけられた。

「なっ……これは……」

「重力さ。」

「重い…っ!!」

「そのまま潰す。お前のご主人さまも同様にな。」


(AI)

「……くっ!」

天使はなんとか抜け出そうとする。が、一向に抜ける気配はない。


(俺)

「苦しんでる姿も見ていたいが、俺は別にリョナ好きってわけでもないんでな。さっさと死んでくれ。」

天使と龍はそれぞれ血の塊となって弾け飛ぶ。

「さてと、神も神意者ももう居ない……。じゃあ俺が神になるのか。」

ならもう、やることは一つだ。

「この世界を、終わらせる。」




最後に俺が思い出していたのは、あの時トラックから助けた少女のことだった。

そうだ、あの子の名前は確か――




――神懸翼。

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