第3話
(俺)
「え、あ…はい、クラスメイトですけど…?」
(AI)
「クラスメイト、ね。」
棗の返答に女子生徒が何かを考える素振りをする。しかしそれもほんの一瞬のことですぐに口を開く。
「最近、彼に変わったところはないかしら?例えば、様子がおかしかったりとか」
「特に変わったことは……」
(確かにクラスのみんなと距離を置いているけど……)
そもそも莉緒を除いてクラスメイトは守野の友達でも何でもないのだ。そんなことを話しても意味がないだろう。
(それより気になっていることがあるし……)
棗は先程からずっと気になっていたことを口にすることにした。
(俺)
「あなた達は何者なんですか?」
(もしかしてなにかの組織とか?)
「アタシ達か?そうだな、世界を救うための組織的な、そういうのかな。」
「おい音留、それ言っていいやつなのか?」
「大丈夫よ。むしろ私達は協力してもらっている立場だし、そのくらいは教えてあげるべきよ。」
どうやら名前を教えてくれるらしい。
「はいはい、アタシ
「この格好にしたのはお前だろうが」
「え、いつもこんな感じでしょ?」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ。」
「厨二病。」
ハイスピードの会話劇についていけず混乱している棗と悠里に対して、同じく向こうの会話劇側ではない眼鏡の子が頭を抱える。
「なんか、仲いいですね。」
「ああ、ずっとあんな調子だ。はっきり言ってうるさい。」
うるさいと言ってはいるけど、眼鏡のその子の顔は明るかった。
「私は
(AI)
「あ、白石悠里です。よろしくお願いします。」
「九条棗です!よろしくお願いします!」
(こんな可愛い子たちに馴れ馴れしく接してもらって本当に良いのかしら……!?)
そんなことを考えていると、日向が棗達に向き直った。
「話を戻すけど、守野くんは最近何か変わったことはないかしら?」
少し考える素振りをしてから棗は答えた。
「そういえば昨日怪我したって聞いた……」
(俺)
「あ、そういやあいつ窓から飛び降りてたわ」
悠里がそんなことを口走る。
「え!?だって3階でしょ!?」
「だよね、でもなんとかなったらしいよ。」
「…やはりか。あいつ――守野歩も神の啓示を受けしもの…『神声者』か。」
(『神声者』…?)
「ああ、君たちにも説明しないとか…そうだな。ここじゃ少し話しづらい。場所を変えよう。」
「んぁ、俺の出番か。」
京也が手を挙げる。
その瞬間、『空間が割れた』。
「えっ!?なになに!?」
「ぎゃー!?怖い助けて棗ちゃん!!」
「助けてって…!?」
「落ち着け、これはただのテレポートってやつだ。」
(AI)
「テレポート!?」
そして2人はまたも訳のわからないまま別の場所へと飛ばされた。
目を開けるとそこは、普通の教室だった。
(……ここは?)
棗がそう思っていると、音留が説明をした。
「ここは、アタシ達のアジトさ。」
「……アジト?」
「まあアジトと言ってもただの学校の一室なんだけどね?でもこういう『普通じゃない場所』を作るのにはなかなかコツがいるんだよ。」
「コツ……」
(まさかとは思うけど魔法
(俺)
とか使ってたり…!?)
棗は期待でいっぱいだった。
「お、帰ってきたか。そして来たか。待ってたぜ、棗、悠里。」
「あっ、ど、どうも!!」
「あれ、でも莉緒ちゃんがいねえな。」
「ああ、俺連れてくるよ。」
そう言って京也はテレポートした。
「じゃあ、ひとり足りねえけど始めるか。」
「始める…?」
「ああ、新入団員に対しての説明会をな。」
「なるほど説明ね。」
「悠里ちゃん納得しちゃうの!?入団することになってるんだよ私達!」
(AI)
「まあいいじゃん!楽しそうだし。」
悠里は、どこまでも楽観的だった。
「まあいいか……それで、話っていうのは?」
(いいんかい)
棗の中で悠里のイメージがどんどん崩れていくのであった。
「……あいつも来たみたいだから詳しく話すか。」
(あいつ……?)
京也の言葉に棗は自分の斜め後ろを見た。しかしそこには誰の姿もない。そしてその瞬間、悠里が突然叫びだしたのだった!
「なああああ!?」
「え、な、なに!?」
「い、今なんかいた……!?」
悠里が指さす先には何もいない。しかし音留さんもそれを視認しているようだった。
(一体何が起こってるの……!?)
棗は何が何だかさっぱりわからないといった様子であった。そしてそれは今戻ってきた京也と莉緒も同じようであたふたとしている。
「落ち着け」
(俺)
「へ!?」
何もないところから声と一緒に蓮さんが現れた!
「神声者は神の啓示、つまり神から『能力』を与えられた者のこと。私、日向蓮の能力は相手に何かを勘違いさせるって言う能力。」
「あ、アタシは心読めるよ~!」
「音留、お前軽すぎるぞ。ちなみに俺は空間と空間をつなぐことができる。」
「じゃ、自己紹介も兼ねて俺もさせてもらおうか。俺は
(わぁ…凄い)
悠里は半分思考停止状態だったが、棗はギリギリついていけていた。
「あれ、ってことは私と悠里のも?」
「そうだぜ?莉緒ちゃんのは人の命を吸うことで半永久的に不老不死でいられるっていう、でも能力の対価に他のものが食べられなくなってるから、能力ってより縛りって感じだけどな。でもその不可能レベルの条件を満たしてんのが、悠里ちゃんの能力である無尽蔵の生命力及び精神力だ。」
「なにそれ私つよっ」
「自画自賛してる…」
(AI)
棗も思わず突っ込んでしまう。
「んで、守野歩は『神声者』の中でも異質でな。」
「異質……?」
「あいつは、『神』そのものから力を与えられたらしい。」
(なんだそれ)
「しかもその力が強大すぎて制御できてない状態らしいぜ?ほら」
(俺)
そうしてそこに居た7人が見せられたのは、空を飛ぶトラックに轢かれて死んだ守野歩だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます