第4話 狂乱の夜

 その夜も彼女はやって来た。暗黒の闇から愛しい男に会うために。彼女の周囲に漂う青白い炎。彼女は満面の笑みを浮かべてその部屋のインターホンを押す。長い黒髪に白いワンピース。妖艶な美貌の女、露木愛だった。


 荻原真一は吸い寄せられるように玄関ドアを開けて女を室内に招き入れた。その女、露木愛は部屋に入るなり真一の首に腕を廻して身体を預けた。

 ひんやりとした冷気が二人を包む。


「……真一さん……会いたかった……」

「愛さん……」


 真一は露木愛の冷たい身体に戸惑いながらも彼女をしっかりと抱きしめた。


 そして自然と重なる男女の唇。露木愛は、大胆にも真一の唇を割ると舌をからめてきた。真一も荒々しく応じる。


 露木愛は立っているのがやっとの状態になった。


「……真一さん……」


 露木愛は抱擁を解くと荻原真一の前に立った。そしてあっという間に白いワンピースを脱ぎ捨てた。彼女はなんの躊躇もなく一糸まとわぬ姿を真一の前にさらした。


 均整のとれた眩いばかりの美しさである。


「……抱いてください……お願い……わたしを……好きにして……」


 さすがに荻原真一は驚いて絶句した。しかし男の欲情を抑えることはできなかった。無理もないことだったが、目の前の露木愛の美しい裸体に理性を奪われてしまったのである。


 露木愛は黙って真一の服を脱がせにかかった。


「……愛……さん……」


 全裸になった二人はもつれるようにベットに倒れ込んだ。


 彼女は烈しく真一を求めた。


「あ……あうっ」


 無防備な女体はまったく無抵抗で、大輪の花を散らされ、蹂躙され、もてあそばれ、辱しめられた。荻原真一は露木愛を徹底的に犯し、手ごめにして征服した。


 真一も露木愛に自由にされ翻弄された。髪を振り乱し、羞恥心をかなぐり捨てとどまる所を知らぬ女の情愛を真一にぶつける。真一も男としてしっかりと応えた。


 彼女の形のいい乳房、細くくびれた腰、豊満なヒップ、すらりと伸びた脚、すべて真一にゆだねられ、そのしなやかな肢体は荻原真一を虜にした。


 露木愛は何度も歓喜の声をあげ、荻原真一の腕に抱かれその胸に唇を押し付ける。そして再び進んで身体を開き男を受け入れる。

 彼女はしっかりと男の背に腕を廻し、彼に身を任せる。ほとばしる欲情。


「……もっと、もっといじめて……ください……わたしを……」


「……真一さん……お願い……犯して……ください……犯して……あ……ん……」


「……抱いて……わたしを壊して……うぐっ」


「あっ……あっ……あっ……む……あんっ……あおおお……」


「……そ、そんな……し、真一……さん……あっあっ……ひ……い……」

 

 彼女は唇を奪われ、舌をからめられ、美しいうなじを這われた。両乳房も荒々しくもみ上げられ吸い上げられ、脚を大股開きにさせられた。

 真一に恥ずかしい体位を取らされ凌辱されながらも健気に耐える露木愛。目を閉じてなすがままに玩弄される女。露木愛はみだらに悶えながら、男の責めに何度も絶叫させられた。


「……あ……ん……真一さん……」


 熱い吐息を漏らしあられもない姿を男の前に惜しげもなくさらしながらも、露木愛は気高い品位を失わなかった。


 荻原真一の裸の胸に顔をうずめ、優しく髪を撫でられる露木愛。その上気した頬を流れる一筋の涙。彼女の身体にはしっかりと真一が刻み付けられていた。


「……真一さん……わたしはもうあなたのもの……あなたはわたしのもの……離れない……離さない」


「愛……僕も離さない……」


「うれしい……うれしい」


 再びからみあう男と女。


 露木愛は今度は四つん這いにさせられ、背後から荻原真一に貫かれていた。彼女は苦痛に顔をゆがめベットのシーツを固く握りしめている。


「……う……く……もっと……もっと突いてっ……わたしを……あっ……そ、そんな……あっ……あっ……突いてっ……突いてっ……」


「あっ……あん……な、な……ん……はうっ……お、犯してっ……真一さん……もっとわたしを……壊してっ……あっ……あっ……あっ……あっ……」


「……あんっ……く、苦し……うぐぐ……もうやめ……あっ……おっ……突いてっ……突いてっ……あおおお……」


「し、真一さん……むぐ……た、助けてっ……か、かんにんして……犯すの……許して……むうっ……あっ……あっ……あっ……あおおおっ……あおおおっ……お願い……はうっ……いや……助けてっ……助けてっ……許して……」


 露木愛の必死の哀願を無視して真一は彼女の細くくびれた腰をしっかりと抱え、豊満なヒップに下半身を打ちつける。なすすべもなく悶え苦しみ、涙を浮かべて喘ぐ露木愛。


「……もう……もうだめ……あっ……あっ……ひっ、ひ……い……し、真一さん……か、か、かんにん……」


「う、うぐっ……お願いっ……お、お願……い……です……もう……ゆ……許し……てっ……わたし……あおおおおおっ……あんっ……あっ……あっ……あっ……」


「あわわっ……あわわっ……抱いてっ……うわっ……むっ……あうっ……あっ……あっ……た……助けて……許して……は、はう……」


 苦悶の表情を浮かべ頭を左右に揺らし苦しみ続ける露木愛。真一に泣きながら哀願する彼女だったが激しく腰を振って男に協力していた。


「……ひ……ひいっ……し……真一……さん……あっ……もっと……うぐっ……」


「あうっ……あっ……あっ……そ、そんな……あんっ……や、やめ……あっ……あっ……むうっ……あ……壊れるっ……お願い……です……あひっ……」


「あっ……あっ……あっ……あおおおっ……あおおおっ……あおおおっ……うわっ……お、ね、が、い……助けてっ……助けてっ……あっ……あっ……助けて……ううううっ」


 泣きじゃくりながら許しを請う露木愛。いっそう激しく腰を動かし彼女を責め立てる荻原真一。限界に近づく露木愛。


 さらに露木愛は仰向けにされ、股が裂けるほど脚を大きく開かされ、荻原真一を受け入れさせられた。


「あうっ……あっ……あっ……し、真一さんっ……あっ……あおおおおっ……あひっ……むう……ひいっ……あっ……あっ……いじめてっ……壊してっ……」


「あっ……あっ……あっ……お、ね、が、い……もっと……わたしを……犯して……もっと……突いてっ……あおおおおおお……あっ……あっ……あっ……」


「あっ……あっ……あうっ……あおおおっ……あおおおっ……あおおおっ……あっ……あっ……あわわっ……あわわっ……あっ……あっ……あっ……あ、あおおおおおおっ……あっ……あっ……あっ……ひいっ……ひい……あっ……あっ……あっ……」


 もはや野獣のように絶叫させられる露木愛。長い黒髪を振り乱し真一にしがみつく女。彼女は限界を越えていく。


「……あうっ……あんっ……わ、わたし……もう……かんにん……ゆ、許してっ……もっと……もっと……」


「あうっ……あっ……あっ……あわわわっ……あわわっ……あおおおっ……ひっ……もう……犯さないで……許して……助けて……助けてっ……壊れるっ……」


「あっ……あっ……あっ……あおおおっ……あううっ……あおおおっ……あおおおっ……あおおおおおおおおおお……」


「ハア……ハア……ハア……ハア……」


 深夜の静かな部屋で、愛する男に翻弄され、犯され、辱しめられ、絶叫号泣させられ、玩弄され尽くした女の甘い喘ぎ声。もはや露木愛は限界を越え言葉を発して哀願する力も残っていなかった


 そして荻原真一の激しい凌辱に耐え絶頂をむかえた露木愛。辱しめられ、犯されぬいた彼女はだらしなく脚を開いたまま力なく横たわっていた。


 しかし荻原真一は気がつかなかった。彼に抱かれ悶え狂う露木愛の周囲に漂う妖しくも美しい青白い炎。それはあたかも彼女を見守っているかのごとく静かに浮かんでいた。


 露木愛の一途な想いはここに大願成就したかにみえた。だが……。


「わたし……もう帰らないと……」


 めくるめく夜が終わり、露木愛は涙を浮かべて荻原真一に告げた。


「……真一さん……明日もまた……抱いてください……」


 真一は黙ってうなずくと彼女を抱きしめた。「うれしい」彼の腕の中で満足気に笑みを浮かべる露木愛。男にすべてを捧げた美しくも妖しい女。


 露木愛は涙を流しながら闇に吸い込まれるように暗黒の深淵へと帰って行った。真一の部屋から得体のしれぬ冷気が消えた。


 翌朝、荻原真一はベットの上で目を覚ました。彼の目は虚ろで目尻にはどす黒いクマができていた。あたかもすべての精気を吸い取られたかのように、彼はぐったりとしていた。

 

 結局その日、荻原真一は起き上がることも出来ず仕事を休んでしまった。彼は理性も判断力も失っていた。魔性の女、露木愛の虜になっていたのである。もはや暗黒の冥界に引きずり込まれるのは時間の問題だろう。


 そして再び狂乱の夜を迎えた。


 闇からの訪問者露木愛。青白い炎を従え冷気を身にまとった、長い黒髪に白いワンピースの美女。カツ、カツ、カツと廊下に響く足音。


 今夜も荻原真一に抱かれるために彼女はやって来た……。

 



 






 


 

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