第17話 肉まんかと思ったらおっぱいだった 中編
妹が起こしてくれたおかげで、オレはその日も始業時間ギリギリだったが遅刻はせずに済んだ。
朝のホームルームが終わり、午前の授業が始まる。
正直勉強は嫌いだが、単位のためにはちゃんと授業を受けるしかない。
オレは睡魔と闘いながら退屈な午前の授業を何とか乗り切った。
そうして迎えた昼休み。
一日の中で一番好きな時間がやってくる。
「昼休みは堂々と女子のおっぱいを観察できていいなぁ……」
オレはさっそく購買で買った惣菜パンを食べながら、まわりの女子生徒を観察し始めた。
授業中と違って昼休みは教室内をキョロキョロ見回していても何も言われないし、他のクラスの女子生徒たちがやって来ることもあるので、より多くの女子の胸を拝むことができる。
まさに至福の時間だった。
観察を続けているうちに、オレの視線が一人の女子生徒の胸元に釘付けになる。
「……お!
彼女の名前は
ルックスも申し分ないが、彼女の最大の魅力は何といってもその豊かなおっぱいだろう。
以前は少し大きめのリンゴだったものが、今はメロンと呼べるほどにまで成長している。これだから成長期というものは侮れない。
制服の上からでもその豊かさがわかるくらいだ。生で見たら、どれほどの迫力があるのだろうか。
触り心地も抜群に違いない。
さすがに「見せて」とか「触らせて」などと頼むことはできないので、今日も遠くから眺める程度に留めておくことにした。
「本当に大きいなぁ……」
食事も忘れて、仁島のおっぱいに見入ってしまう。いつまででも見ていられる自信があった。
だが、教室で堂々とそんなことをして誰からも文句を言われないわけがない。
案の定、クラス委員長の女子生徒がオレを注意しにやって来るのだった。
「ちょっと、栗峰君!! いい加減にしなさいよ!! いつもいつも女子の胸ばかり見て……」
その表情から相当ご立腹していることが伝わってくる。何度注意しても、まったく反省せず視姦を繰り返すオレに本気で怒りを感じているのだろう。
しかし、オレにとってこの時間は退屈な学校生活の中で唯一の楽しみだ。
誰にも邪魔されるわけにはいかない。
いつものように食ってかかることにした。
「別にいいだろ! 見るだけなんだから……」
「よくないわよ! みんな迷惑してるってわからないの!?」
はっきりと迷惑だと言われてしまった。
だが、それを言われると反論に窮してしまう。クラスの女子たちがオレに対して警戒心を抱いていることは事実だからだ。
仕方ないので、少し論点をずらすことにした。
「……自分がペチャパイだからって僻んでんじゃねぇよ!」
「なっ……!?」
顔を真っ赤にして両手で胸元を隠す委員長。
オレを睨む眼光がさらに鋭くなった。
「……サイテー」
「サイテーで結構だ! もう少し育ってから出直してこい!」
これ以上口論はしたくなかったので、しっしっと追い払おうとする。
委員長は去り際に、聞き捨てならない一言をつぶやいた。
「どうして男って、こうも巨乳が好きなのかしら……?」
「……おい! 今何つった!?」
その一言に、思わず反応してしまう。
自他ともに認めるおっぱい星人として、今の発言はどうしても無視できなかったのだ。
「何怒ってるのよ、事実でしょ? いっつも胸の大きな女子ばかり見てるじゃない!!」
「確かに巨乳は好きだ! だけど、大きければいいっわけじゃねぇ!!」
「……は?」
「形が重要なんだよ! いくらデカくても形が悪かったら台無しだ。オレの理想は半球型かお椀型だな。その点で仁島の胸は完璧だ! キレイなお椀型でカップもDかEくらいある! まさに芸術作品のようなおっぱいなんだよ!!」
「あなたね……」
委員長がゴミでも見るような目でオレを蔑んでくる。
いや、委員長だけではない。いつの間にかクラスにいる女子全員がオレのことを軽蔑していた。特に仁島は最大級の警戒オーラを放っている。
さすがにマズいと思って男子の方を見るが、どうやら今の発言は男子までもドン引きさせてしまったようで、味方になってくれそうな人はいなかった。
完全に四面楚歌の状態。今さら何を言っても、好感度が上がることはないだろう。
――さてと、どうしたものか……
この状況をどうにか切り抜けようと必死に思考を巡らすも、よい案は浮かばない。
万事休す――と思ったその直後、タイミングよく昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。
オレに視線を向けていた生徒たちが慌てて自分の席に戻り、授業の準備を始めた。
委員長も自分の席に戻ってゆく。
オレはようやくほっと胸を撫で下ろすことができた。
だが、今回の一件で完全に孤立してしまっただろう。女子もこれまで以上にオレのことを警戒するかもしれない。
しかし、後悔はしていない。
オレはおっぱいが好きだし、形が大事だというのも本心だ。円錐型や釣鐘型など女性の胸の形はいくつかに分類されるが、その中でも半球型とお椀型こそが至高だと思っている。そこに嘘はつけないのだ。
それに、オレはもともとクラスで孤立気味だったし、女子生徒と仲が良かったわけでもない。今さらクラスメイトから軽蔑されたところで、心底どうでもよかった。
――だけど、同じクラスの女子のおっぱいを観察するのはしばらくやめといた方がいいかもな。完全に警戒されちまったし……明日からは他のクラスの女子でも観察しようかな……
そんなことを考えながら、あくびが出るほど退屈な午後の授業を受けるのだった。
そうしてすべての授業が終了し、放課後を告げるチャイムが鳴ると、オレはカバンを持ってすぐに教室を出た。
教室内でぐずぐずしていると、また委員長がやって来てお説教タイムが始まるかもしれないと思ったからだ。
生徒で賑わう廊下を進み、昇降口で靴を履き替えて校舎を出る。
そのまま校門を出て、自宅に向かって歩き出した。
だが、ほんの五分ほど歩いたところで立ち止まる。
そこに見たこともない神社が建っていて興味を惹かれたためだ。
「……何だ? この神社……」
こんなところに神社なんてなかったはず。少なくとも、今朝の通学時にはこんなものはなかった。
非常に不気味だ。
しかし、荘厳な空気が漂っており、格式は高そうだった。
「一体どんな神社なんだ……」
ほとんど怖いもの見たさに、オレは鳥居をくぐって境内へと足を踏み入れた。
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