午後四時だよ!総員集合!!

「なぁんで部活少なくなったのかなあ!!??」

「もうそれしか言わないじゃん。」


 ―――午後4時丁度。地元のチャイムとともに、美術部の活動が始まった。



※※※




「まあ、あんさんと元部活バックレ野郎を視界に入れる回数が減ったのは良いことだけども!それにしてもよ!!」

 莉月は大袈裟なくらいのため息をつき、絵を描く準備を始めている。

 因みに、この美術部には全員机の位置が決まっている。莉月は一番窓際の前から二番目の席だ。

「そういうこと言っちゃいけないよぉ莉月ちゃん~」

 莉月の右隣に座っている茄乃は、慌てて止めに入る。しかしそれを遮るかのように暗優が口を開いた。

「いいんだ茄乃ちゃん。これが扱いの差だから。」

 暗優は、莉月の後ろの席で呆れたように言う。ただ、どうにもその目には殺意がこもっている。

 そんな空気間に冷や冷やしている一方、これがいつものことだと分かっていた茄乃は「そっかぁ~」と笑顔に戻り、莉月と同じく絵を描く準備を始めた。

「ところで、推し匠は今日何するつもりなんですかー?」

 先程まで後ろを向いていた莉月が前を向くと、席を向かい合わせにくっつけていた愛葉と目があった。しかし愛葉は、いつものスケッチブックではなく今日は何やら教材を持っているようだった。

「………塾の宿題だ。」

「絵、描かないんですかー??」

 莉月は光のない目で愛葉を見つめた。こう言うときの莉月には誰もかなう気がしない。

「………塾の宿題を早急に終わらせてそれから絵を描くというのはどうだろうか」

「うわ、めっちゃ早口やん」

 莉月の圧に急いで提案をしている愛葉の横では、愛葉の隣に席をくっつけ茄乃の前に座る美稀が笑っていた。

「オッケーです!」

「いいのかよ」

 二人の世界に置いてかれた美稀は遠くから口を挟むだけでやめておいた。

 すると、美術室の扉が開き男子が二人入ってきた。

 一人は、身長が高く細身のある少年。もう一人は身長はやや低いが、その代わり体ががっちりしている。

「キエエエエエエエェェェェ!!」

「うっわ吃驚した。脅かさないでよ響。」

 奇声を上げた真と、それに驚く龍之介だった。



※※※



「よぉし!これで美術部総員が揃ったな!」

「3年生だけだけどね」

「うるせぇ、二度と口が利けないようにしてやろうか」


 莉月はそれでも満足したかのように、大きく延びをして言った。


「美術部、活動開始!!」



 5月某日、新緑の季節である。






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