5人の少女とひとり(?)の男

 今年から、市内全体で部活動の時間が短縮された。水曜日以外全部の曜日にあった部活動も、火曜、木曜、金曜だけになってしまった。これにより大半の生徒は涙を流し、互いに抱きしめあい喜びを分かちあうくらい心の中で喜んだ。と言う声がほぼほぼなのに対し、一人の少女は部活ガチ勢という例外なので、涙を流し盛大に悲しんだ。


「ねぇ!?何で部活少なくなってんのかなああああ!?」

「うるさ」

 

 絵の具の匂い。


「もうなんなら、土日も部活やるか!部長権限!」

「やだよ、めんどくさい。副部長権限。」


 優秀な絵が飾られる突き当たりの壁。


「………てか、そろそろ皆くるんじゃね?」

「お、噂をすれば」


 よく日の当たる、美術室。



 ※※※



 気付けば皆、彼女の元に。



 ※※※


「あ、やっほーりずたそ!」

「ほまたそ!」


“ほまたそ”こと、3年2組寿賀野美稀すがのほまれ


「席くっつけるか、」

「うん!茄乃はすのちゃんも!」


 席をくっつけることを促した3年1組、荅坂暗優あずきざかあんゆと3年3組、轟茄乃とどろきはすの


「俺も。」

「推し匠!」


“推し匠”と呼ばれた3年3組駒津愛葉こまつあいは


「…………」

「おいどこ座んの吹!!」


 美術部の男子部員、3年2組澁谷吹しぶやすい


「……俺龍之介りゅうのすけまことと座るから。」

「いやー!気付けば男子部員も吹君ではなくなってしまいましたな~!」

「変換!!」


そう、美術部には2年生になってから、二人男子部員が増えた。齋藤龍之介さいとうりゅうのすけ響真ひびきまこと。二人とも吹と同じ3年2組である。


そして。


「もぉ~!吹君にちょっかいがかけられないじゃないか!!かざみ、かなしぃ~!」

「「「「おえぇぇぇ」」」」

「おい、いま吐いた奴もっと楽にしてやるからでてこい。」



 我らが美術部部長、3年5組風見莉月すがたみりずきである。

 

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