第6話 野生のモンスターが姿を現した
ステータスオープンという声とともに現れた長方形上の半透明の板。
ゲームなんかでよく見るような画面だ。
私の名前や様々な数値が表示されている。
「走ってるのに常に目の前に在るんですけど……」
あり得ないことに、この薄い板は宙に浮かび、常に私の目の前に現れている。
手で払いのけようとしても全然消えない。
幻覚だと思いたいが、既に散々おかしな光景を目撃しているのできっとこれも現実なのだろう。
「……てか、走りにくいし邪魔なんだけど……」
消えろと念じると目の前の板は一瞬で消えた。
いや、普通に消えるんかい。
「……ステータス・オープン」
試しにもう一回唱えてみると、再び同じ画面が現れた。
どうやらこの画面は自由に出したり、消したり出来るらしい。
本当にゲームみたいな世界ね。
「ゲーム、か……」
もし本当にこの世界がゲームのような世界になってしまったのなら、現れた化物はあの二体だけなのだろうか?
「もしかして、他にもまだあんな化け物が――」
「――カカカ」
声が、聞こえた。
「ッ――!?」
反射的に声のした方を向く。
何時の間にそこに居たのだろう。
一体の骸骨(スケルトン)がこちらを見つめていた。
簡素な鎧と錆びた剣だけを身に着けた質素な姿。
先程の骸骨の騎士に比べれば数段見劣りする姿だが、明滅する街灯の下に佇むソレは住宅街にあって明らかな異様さを誇っていた。
「カカ、カカカ……」
「ッ……」
骸骨(スケルトン)は錆びた剣を揺らしながら、ゆっくりと此方に近づいてくる。
「い、嫌……来ないで……」
怖い。
恐怖が全身を舐めるように這いずり、背中からじっとりと汗がでる。
へっぴり腰でなんとか後ずさり距離を保つ。
「カカ……」
「カカカ……」
すると後ろからも同じ声が聞こえた。
「……冗談でしょ」
そこには更にもう二体、別の骸骨(スケルトン)が居た。
図らずとも挟み撃ちにあう形だ。
「何なのよ……」
じりじりと此方に近づいてくる三体の骸骨(スケルトン)。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
このままじゃ殺される。
「みゃぁっ」
するとハルさんが懐から出て、走った。
その先には細い路地があった。
暗さと恐怖心で、私は逃げ道があった事に気付かなかったようだ。
「みゃぁ」
ついて来いとばかりに、私の方を見てからハルさんが走る。
「ハルさん待ってっ!」
「カカ!」
「カカカッ」
「カヒッ……カヒヒ……」
私が路地に入ると、当然骸骨(スケルトン)達も私たちの後を追ってきた。
くそ、コイツら意外と足が速い!
いや、私が遅いのか? 運動音痴だし。
「付いてこないでよ……!」
無論、そんな願いは叶わない。
私と骸骨(スケルトン)たちとの鬼ごっこが始まった。
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