第7話イタチ



 巨大なイタチのクリーチャーが現れたことで、良平と梓と武蔵は瓦礫山に急いで向かう。

 瓦礫山は地下居住区から一キロ先にある大きな山だ。

 瓦礫山に三人がつき、急いで巨大なイタチのクリーチャーがいるエリアに向かう。

「きゃあああああ」と梓が叫ぶ。

「急にどうしたんだよ」と良平。

「ゴ、ゴキブリ! 私嫌いなの!」と叫ぶ梓。

「意外だな。ゴキブリ一匹くらいどうって事ないよ」と良平が調子に乗って触ろうするとゴキブリの群れが現れる。

「うわああ」とびっくりする良平。

「やっぱりあんたも苦手やん」

「苦手じゃないけどこの数は無理だわ」と良平。

「ふーん」と梓。


「お前ら喋りすぎだ。とりあえずゴキブリはこれ使ってけ」

 それは最新のゴキブリを駆除する薬だった。

「すげーこれ。効きめがすごい」と良平。

「でも、使い過ぎたら人間にも害だから、気をつけろよ」と武蔵は注意する。

 巨大なイタチがいるエリアに行く途中、クリーチャーの食われた形跡らしきものを見つける。

「これはクリーチャーが食われた後だ 」と武蔵。

「じゃあこの先にいるってことですか?」と良平。

「早く行こうや」と梓。

 

 三人がまっすぐ進むと鳴き声が聞いた。

「キュイーン」

 良平は空を見る。

「あれはなんだ」と良平。

 

その鳥のような姿をした生物は確実にクリーチャーだった。


「あれはガチョウだ! イタチの天敵 だ」と武蔵。

 クリーチャー名ガチョウ。それは縦に目が二つついていて、毛の色はオレンジ色の姿をしており、大きな羽がある。そして、オレンジ色の体に少し緑も混ざっている。

「気をつけろ!」と武蔵がまた声を出した。

「目の感じが気持ち悪いわ。」と梓

「確かにきもいな」と良平。

 良平達の会話を気にせず、ガチョウが攻撃態勢に入る。

「空から仕掛けてくるのはきついな」

 良平が弱音を吐くと、梓が言う。

「気持ちで負けたらあかんで」

 梓なりに良平を応援する。

 

上空から突進するかのように近づいてきたガチョウに、良平は大剣を振り切ってダメージを与えようとするが、ガチョウの皮膚は固くて跳ね返される。

(これ負ける)

 口には出さなかったが、良平はそう思った。

 

そこで、武蔵がアイテムを使う。

「それは何ですか?」と良平は武蔵に聞く。

「これは戦闘アイテムだ。閃光玉といって相手を一定の間動けなくする小さい丸い球だ」

「そんなのあるなら最初から使ってください」と梓。

「悪いな」


 武蔵はすぐさま閃光玉を使い、ガチョウの動きを止める。

 ガチョウのスキをみて攻撃する。

「私がやります」

 動きのとまったガチョウを、双剣の連続切りが襲う。

 双剣は、火力全振りの大剣より立ち回りがよく動きやすい。しかも、連続で攻撃するため、相手が固い皮膚でも、その中のやわらかい所に必ず一回は攻撃が当たる言うメリットがある。

「おりゃ!おりゃ!おりゃ!」と梓は叫びながら、タイミングをとって攻撃する。

 梓の攻撃が当たっても、ガチョウはダメージをくらっても平気そうな顔をした。


 槍で頭を刺そうとしようとしたのに、ガチョウは意識を取り戻す。

 ガチョウは逃げるように去っていく。

「なんとか撃退できたけど、強かったな」と良平。

「せやな。でも私大活躍やったから満足やわ」

「大活躍ってほどでもないだろ」と良平。

「でも、良平より攻撃くらわせたで」

「まあそうだけど」と良平。

「本番はこれからだぞ」

 武蔵が仕切って山奥に入っていく。

 すると、地震が起きる。


「なんだこれ」と良平。

「わからない」と梓もびっくりして驚く。

「多分これは、イタチがどこかで潜っていると思われる」

 武蔵は冷静に判断した。

 梓と良平は納得して頷く。


「じゃあ早くイタチと遭遇しないと」と良平は心配そうに言う。

「この感じだとまだイタチは大丈夫だと思われる」

「隊長!本当に言ってるんですか?」

 良平はまた心配そうにすると梓も武蔵の言葉を聞いて驚く。

「それほんとにいってるん?結構揺れたで」

「とりあえず一旦今は大丈夫。それより探すことに専念して」

 武蔵の言葉を信じて、良平と梓は前に進む。

 山道という事もあり、かなり疲労がたまりだす。

「結構あるいたな」と良平。

「せやな。今どこやろ?」と梓。

 そんな時だった。

 地面がまた揺れ始める。

「今度のはやばそう」と良平が言った時、目の前にクリーチャーが現れた。

 ドゴゴゴゴゴゴ

 唸り声とともにイタチというクリーチャーが良平達の前に姿を現す。

 クリーチャー名イタチ。細長い形をしていて、目は二つあり、皮膚にはそれぞれの個体でいろんな模様がある。ネズミ系や自分より弱い鳥のクリーチャーや野生の動物を食べる。

 ちなみに今回の個体は巨大だ。立つと2メートルはある。

「自分から来たか」と良平。

「臨むところやで。ゴブリンで痛い目みたから鍛えたんや。」

「二人ともその息だ」と武蔵。

 三人は戦闘態勢に入る。


 イタチが走ってくるが、それをうまくかわす。

「こいつ、ゴブリンより動き鈍いから勝てる気がするわ」

「俺もその意見に同意」と良平と梓が余裕を物故いていた。

「余裕見せると殺されるぞ。よそ見するな」

 武蔵がいつもみたいに注意する。

 するとイタチが立ち上がり、小さい手でパンチを繰り出すが、それを良平が前にでて大剣でガードする。

「このパンチ結構重たいな」

 良平がガードしていると、梓がいきなり前に出た。

「梓。前線にあんまり出るな。まだわからない」と武蔵は注意するがそんな事聞くはずもない。

「おりゃ!おりゃ!おりゃ!」

 イタチのお腹に梓の双剣の連続攻撃が当たった。すると、イタチは腹が血まみれになくらいダメージをくらう。

「うぎゃあああ」

 イタチは叫び声をあげる。

「ナイスだが、俺の命令を無視するな!」と武蔵は梓に怒るが、結果オーライだったこともあり、なぜ怒られるんだと梓は声に出して言う。


「文句を言うな。今回は上手くいっただけだ」と武蔵は梓に口うるさく言う。

「喋ってないで戦ってくれ」

 良平は、ガードする事で必死だった。

「ごめん」

 武蔵と梓は良平に謝り戦闘に戻る。


 梓はジャンプしてイタチの眼球を狙おうとする。

 イタチは右目を損傷したが、左目は守られる。

「よっしゃ!」

 梓は地面に着地してからガッツポーズをする。

 目から血を出したイタチは、態勢を崩してふらふらする。

 そこのスキを見て、良平がお腹を刺しに行く。

 ぶっ倒れたスキをついて良平の後ろにいた武蔵が、弱点の足裏を槍でつついて討伐した。

 討伐が終わり、三人で捕食するところだった。

 さっきのガチョウが、また現れて討伐したイタチを持っていった。

「おい、待て」と三人は声を合わせて言う。

 飛んでいる為、追いつくことはできず三人は、諦めることにする。

 そして、殲滅支部に戻り、今日の報告をする。

 報告が終わり、良平と梓と武蔵の三人はクリーチャーを捕食して、回収できなかったことを次に生かすために、どうすればよかったかをまとめるように支部長から言われるのだった。

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