第3話ゴブリンの巣



「そろそろ着くかな」

 怖さが吹っ切れたのか、少しテンション上がって良平は武蔵と梓に言った。

「まだだぞ。とりあえず、これ背中に背負っとけ」

 武蔵は良平に大剣の神器を渡す。

「大剣なのに軽い。VR空間では、あんまり不思議に思わなかったけど、実際触ると手触りが全然違う。なんかこう不思議な感じだ」

 良平は感動して、エレベーターの中で振り回そうとする。

「やめてくれ、こんな所で。」と武蔵。

「隊長の言う通りやで」

 大剣の神器は全長一メートルあるが、特殊な鉄で作られている為、とてつもなく軽く、固い。

 そして、禍々しく黒いオーラを纏っており、今にもクリーチャーを一掃できそうな気分になる。


「お前はこれな」

 武蔵は梓に双剣の神器を渡した。

「VR練習の時も使ってたし、頑張れそうな気がします」

 双剣の神器は名前の通り剣の二刀流だ。これにも禍々しく黒いオーラを纏っている。

 

 そして、武蔵は槍の神器を持って地上へ向う。

 槍は穂と呼ばれる先の尖った刃を付け、突き刺して使用する長柄武器だ。

 勿論これも黒い禍々しいオーラを纏っている。


 そうしている間に、三人は地上について、クリーチャーの元に向かう。


「今回の討伐対象は巨大化したゴブリンというクリーチャーだ。気を抜くなよ」と武蔵。

 そして三人はゴブリンの元に向う。

「小さいゴブリンもいるがそれは子供だ。殺せるなら殺したほうがいい。弱点はお腹のへそあたりだ。後でまた巨大化したら大変だからな。一番弱いクリーチャーだが、油断はするな」と武蔵。

「了解!」


 こうして三人はゴブリンがいる洞窟に着く。

 

 すると、さっそく小さいゴブリンが集団で現れる。

 ゴブリンは手に金棒を持っていて、緑色の肌をしていて、人間からうばったTシャツとズボンを着ていた。

「私がやるわ」

 VR空間の時のように、踊っているかのような手さばきで、梓はゴブリンを見事に対峙した。

「初めてにしては上出来だ」と武蔵。

「そうですか。照れるわ」

 梓が少し嬉しそうにすると、良平は気を抜かず言う。

「照れてる暇ないぞ。次だ。次」

 洞窟を進もうとすると、武蔵が良平達に注意する。

「クリーチャーは、死骸を食べて強くなっていくから、ちゃんと武器を使って捕食しておくんだ」

「わかりました。すいません」

 

 そういって梓は捕食した。

 捕食。それはまず、神器をクリーチャーモードに変形させる。すると、神器が一時的にクリーチャーになり、死んだクリーチャーの死骸を食べる。こうしないと、また新たな強いクリーチャーが、死骸を食べて強くなる。そして神器のエネルギー源になっている。ちなみに、クリーチャーモードの時の神器は制御できるような仕組みになっている為、あまり問題はない。バグがあれば知らないが。

 捕食が終わり、次に進進んでいく。

 次に進むと、またゴブリンの集団。


「今度は俺がやる。」

 良平はダッシュでゴブリンに近づき、回転して大剣を振り回わす。

 逃げ惑うゴブリンを一網打尽にする。

 

 すると、うまく逃げていた一匹のゴブリンが後ろから良平を攻撃しようと仕掛けてきた。

「危ないで」

 後ろで見ていた梓がすぐさまダッシュでサポートに入り、良平の頭に当たる前になんとか倒しにいく。

「おりゃあああ」

ゴブリンが倒れる。

「梓ありがとうな」

「借しやからな」

 数匹のゴブリンを見事倒して死骸を捕食する。

 次に進むと中サイズのゴブリンが集団で現れる。

 中サイズのゴブリンは良平の身長と同じくらいつまり、170センチくらいだ。


「確認した感じ六体だな」と武蔵。

「じゃあやりますか!」

「油断大敵やで。さっきも負けそうやったし」

「わかってるって 」


 調子に乗って答えた良平。。

 良平がダッシュして、ゴブリンの頭に大剣を振り落す。

 ゴブリンはその攻撃をよんで、持っていた金棒を大剣にぶつける。


 丈夫なせいか全然ゴブリンに攻撃は効いていない。

「こいつらさっきのやつらと違う。強い」

 良平は確信した。

「当たり前だろ。中サイズのゴブリンだぞ。油断大敵だ」

 良平の背後にいた武蔵が言う。

 その時だった。

「離せ。汚いねん。ゴブリンきしょいわ」

 梓が中サイズのゴブリンの一匹に捕まってしまう。

「やべえじゃん 」

 良平と武蔵はそういい、助けに行く。

「待ってろよ!」

 そう言っている間に五体のゴブリンに囲まれる。

 畳二畳分くらい距離はあったものの、ピンチには変わりない。

「こっちもピンチだな」

「そうみたいですね」

 武蔵と良平はピンチだ。

「俺がやるよ」

 武蔵は一言そう言って本気を出した。

「ちょっと荒っぽいけどな」


 武蔵は目の前のゴブリンの動きを完全に見切っていた。

 右から左に金棒を振り回す攻撃をしゃがんでよけて、上から金棒来た攻撃をすばしっこくかわす。まるで、動きはサルのようだった。

 そして、ゴブリンのへそを狙い槍で攻撃した。

「プシャアアアアアア」


 一体のゴブリンが血を吐いて倒れた。

 それを見て、周りのゴブリンは態勢を整えようとして、離れる。

 良平は一匹のゴブリンに苦戦する。

「早く倒さないと梓を助けられないぞ」

 武蔵は良平を焦らせる。

 

 良平は必死に抵抗していた。

 大剣を思いっきり振り切って相手の金棒を押し返すと、ゴブリンは反動で足を滑らせて、倒れそうになる。

 そこをついてゴブリンのへそを狙って攻撃すると、ゴブリンは倒れた。

 すると残りの四匹は梓を連れ去って逃げようとする。


 梓を連れ去ろうとしたゴブリンを走って追いかけて、良平は回転切りをして、梓を持っている腕を切り落した。

 ゴブリンは憤怒も形相で、残っていた手を梓に伸ばす。武蔵は槍で攻撃した。槍の攻撃はへそに当たったが、まだ倒れる気配がない。

 態勢を取り戻した梓が残っていたゴブリンの腕を切り落した。

 ゴブリンは断末魔の悲鳴を上げて倒れた。

「大丈夫か?」と良平。

「平気やで。助けてくれてありがとうな」と梓。

 そして、残っていた三体のゴブリンは梓を心配しているうちに逃げていってしまった。

 そして倒れたゴブリンを捕食して次に向かう。

 ゴブリンの姿は全く見えず先に進むと、巨大なゴブリンがいるのだった。

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