第2話瓦礫市
日本政府が生み出したクリーチャーは、日本全国の地上世界を住処にして、人間達の日常生活を困らせていた。クリーチャーは管理されていたので、繁殖を知らなかった。そして、自然の中で交配を覚えたクリーチャーは年々増え続けていた。
彼らクリーチャーは時として一般の人間に危害を加え、別の種族同士で共闘してサーバントを襲っており、逆にクリーチャー同士で住処の取り合いをして争っていた。人間達は地上世界に住めなくなり、地下に居住区を作って生活していた。
瓦礫市もその中の1つだった。
瓦礫市は、どちらかと言えば都会ぽさのある、地上に住めていた時は流行の発信源で、観光地として盛り上がっていた。
だが、クリーチャーが住み着くようになり、街は瞬く間に半壊した。
そして、二千百五年。
街に住み着いたクリーチャーを退治するために、時東良平と加山梓が試練を突破してサーバントに選ばれるのだった。
ここは瓦礫市。地下居住区にある一室のクリーチャー殲滅支部。
「まさかテストであんな電撃くらうとは思わんかったわ」
「あれはやりすぎだよな。にしてもそんな小さな体でよく耐えたな」
「死にそうなくらい痛かったけど、峠超えたら平気やったわ」
「お前強いな」
良平と梓がそんな会話をしていると、部屋二人の男性が入って来た。
良平はかしこまって頭を下げて挨拶をする。
「よろしくお願いします」
「そんなかしこまらなくていいよ」
髪型は坊主で肌は黒色に日焼けしていて、体格はでかくムキムキ、背も百八十センチは超えているだろうというような男性が、優しく良平に声をかけ支部長席に着く。
良平と梓を支部長席にその男性は呼び出す。
その男性は自己紹介を始める。
「私は、猪野政宗。支部長だ。よろしく頼む」
「俺は武田
そしてそれに続いて良平と梓が自己紹介をする。
自己紹介が終わると、政宗と武蔵は地下居住区の更に地下に良平達を案内する。
「どこまで行くんですか?」
「もうちょっとだよ」
梓が武蔵に聞く。
「着いたよ」と政宗。
政宗と武蔵に案内されて着いた先は、訓練場だった。
そこにはこの間試験で使われていた神器が二つ置いてあった。
「どちらでもいいから触ってみな。一回慣れてればもう大丈夫だから」
支部長は簡単に言うが、この間の事があって良平達は怖くビビッてさわれなかった。
そんな中、勇気を出して梓が触りに行く。
「大丈夫やん。なんもないで。良平」
それを聞いて良平も安心して触る。
何もなかった事もあり、良平はほっとする。
そして、良平と梓はこの日から神器を扱うための練習に励む。
練習は一か月続き、その間瓦礫市は臨時のサーバントに守られていた。
二人はまだ未熟だが、神器を一応扱えるようになるまで成長した。
ある時、良平と梓は休日を貰い、地下居住区の殲滅支部にあるテレビでニュースを見ていた。
そのニュースの内容は、サーバントに選ばれた一部の人間が行方不明になっているという内容だった。
「息子がどこかに消えた」
「親から連絡がこない」
「本当にサーバントになれたのか」
そんな意見が報道陣や政府に送られてきていたが、政府は完全無視。
逆に報道陣は取り上げていた。
良平達はそのニュース見て自分達は本当に運がよかったと思うのだった。
そして、休日は終わる。
「休日ってほんと時間経つの早いよな」と良平。
「まあ、休息できたし、お互い頑張ろうや」
そんな会話を良平と梓がしていると、武蔵と政宗が来た。
「今日から本格的に実践に入ってもらう」と政宗。
「じっ実践!」
良平と梓は驚く。
VRゲームみたいな実践的な練習はしていたものの、いざ実践となれば二人は緊張して色んなところから汗が出る。
いつもは気合十分の本人たちも、実践的な練習をしてまだまだ本番は無理だと自覚していたのだ。
「無理です。無理です」と良平。
それを聞いて負けたくなかった梓は、緊張して足がすくみそうになりながらも、本気の目をして三人の前で宣言する。
「わかった。私がクリーチャー全部殺して平和にしたるわ」
「俺もいるから俺達だろ」
梓の意見を聞いて良平訂正した。
「そうやったな。お互い頑張ろうな」
「話はそのくらいで終わったか」と政宗。
「はい」
武蔵は、神器を三つ用意して良平と梓を連れて、地下にあるエレベーターを使って、地上に出るのだった。
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