第9話 歌姫は交際をスタート

 歌姫は一年生の男と交際をスタートさせる。定と交友関係を解消してから、わずか二週間しか経っていなかった。


 女のメンタルリセット力は、すさまじいレベルに達している。定が同じことをされたら、一カ月、二カ月は異性と距離を取ろうとする。


 歌姫が正式に交際をスタートさせたことは、○○高校で一大ニュースとなった。彼女の影響力をまざまざと見せつけられた。


 空気レベルだった男は、偽告白により悪名が広がった。女たちからは徹底的に避けられ、男たちから話しかけられる機会が激減。直接いわれていないものの、学校から出て行けといわんばかり。ほんの些細な出来心で、クラスメイト全員の信用を失った。軽はずみな行動は今後は慎まねばなるまい。


 定の座っている席に、原因を作った男がやってきた。 


「俺は負けなくてよかった。偽告白を仕掛けていたら、学校中を敵に回していた」


 こいつは気づいていないだけで、クラスメイトのほとんどから相手されなくなった。アイデアを思い付いたものとして、同罪とみなされている。 


「名誉回復は大変だと思うけど、せいぜい頑張ってくれたまえ」


 第三者をどん底に落としておいて、他人事みたいなことをいってのける。こいつとは昆倫一切、関わるのをやめたほうがいいのを悟った。

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