第8話 知らなかった真実を告げられる?

 本日の昼食は購買部のチーズパン。1個170円と高めの値段設定とされており、2つ以上を購入するのは厳しい。パンひとつだけで、授業を最後まで乗り切る必要がある。


 定はチーズパンを購入したあと、島本涼子に声をかけられた。三カ月前から、好意を持っているクラスメイトである。


「偽告白男さん、こんにちは・・・・・・」


 好意を持っている異性に、偽告白男と呼ばれた。偽告白の一件によって、本命の心証を大きく損ねることとなった。卒業するまで、回復するのは難しいと思われる。


「ドッキリを仕掛けようとする前に、歌姫の様子から何かを感じなかったの?」


「特に感じることはなかったけど・・・・・・」

 

 涼子は大きな溜息をついた。


「偽告白男君の観察力は皆無みたいだね。相手の心も読めないようだと、いろいろと苦労することになるよ」


「相手の心?」


「歌姫は一年生のときから、偽告白男君に興味を持っていたみたいなの。ラブレターを受け取ったとき、はにかんだ笑顔を見せていたもの」


 素直に告白していれば、未来は変わっていたのか。女経験の少ない男には、まったくわからなかった。


 仮に付き合えていたとしても、他に好きな女の子がいる。さらに傷口を広げていたと思われる。偽告白をしようと決めた時点で、歌姫を傷つけることは確定していた。

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