第2話 偽告白

 罰ゲームを実行するため、歌姫を中庭に呼び出す。

 

 定は50点そこそこの男、歌姫は100点満点の女性。告白をする前から、勝率は0だとわかりきっている。形式的に思いを伝えたら、その場を立ち去ろうと思っている。 

   

 定は待ち合わせ場所に行くと、歌姫は既に待機済。落ち着かないのか、そわそわとしている。

 

「○年○組の新谷定君。今日はどうしたの?」


 有象無象の生徒をきっちりと記憶。彼女は見た目だけでなく、頭脳も優れているらしい。


 定は約束通り、歌姫に告白をする。勝ち目のない勝負と分かっていたからか、無に等しい状態で想いを伝えることができた。


「歌姫さんのことが好きです。交際していただけないでしょうか?}


 歌姫の背中は丸くなった。定は何を意味しているのか、まったくわからなかった。


「君の表情を見ていたら、本気で好きなようには見えないな。適当に告白して、OKされたら、ラッキーみたいに考えているんじゃない」


 定は本心を読まれたことで、目が大きく見開いた。


「そ、そんなことは・・・・・・」


「正直にいわないと、先生に相談しちゃうからね。君の進路に悪影響を及ぼすことになるかもしれないぞ」


 真面目な印象のある女性は、実は悪戯好きな一面を持っている。


 定は告白に至った経緯を説明する。


「罰ゲームで告白してきたのか。やり方は関心しないな・・・・・・」


 歌姫はどういうわけか、一の頭をなでなでする。


「ま、松田さん・・・・・・」


「歌姫でいいよ・・・・・・」


「う、歌姫さん・・・・・・」


「さんもいらないよ。う・た・ひ・めがいいな」


 歌姫は優しくいっているけど、有無をいわさない圧があった。


「う・た・ひ・め・・・・・・」


「定、これからよろしくね」


 偽告白から恋はスタートするのか。定は頭の中で、都合のいい展開を思い浮かべていた。

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