好意を持ってくれている学校一の美人に、偽告白をしました

のんびり

第1話 罰ゲームをかけて黒ひげゲーム対決

「黒ひげ危機一髪で負けたほうは、学校一の美人の松田歌姫さんに告白する。定、異論はないな」


 双葉正樹にそう確認され、新谷定は「異論はない」と答える。


「口約束だけだと、逃げるおそれもある。勝負をする前に、署名をするというのはどうだ」


「ああ。いいぜ」


 約束を破ったときには、学校内を裸で全力疾走をやらされる。さらなる罰を加えることで、逃げられない状況を作り出す。


「署名を終えたら勝負開始だ。どちらが明日の放課後に、大恥をかくことになるのか」


 松田歌姫にアタックをかけた男は50人以上。「他に興味を持っている男がいる」という理由で、まったく相手にされなかった。


 興味を持っている異性は謎のままだ。学校内にいるかもしれないし、他校の生徒かもしれない。男除けをするために、彼女自身が嘘をついている可能性もある。


「正樹、やめるならいまのうちだぞ・・・・・・」


「その言葉、そっくり返してやる」


 先攻、後攻をかけたじゃんけんをする。じゃんけんで勝った場合、後攻を選択しようと思っている。


 じゃんけんは一度目で決着がついた。定はグー、正樹はパーだった。 


「俺の勝ちだ。おまえに先にやらせてやるよ」


 黒ひげの数は40本。セーフを繰り返した場合は、後攻の敗北が決定する。


「正樹、後攻を選んだことを後悔させてやるからな」


 定は一本目の剣をつきさすと、人形は宙に舞った。正樹は笑いのツボに入ったのか、大笑いしていた。


「一発目でアウトをひくなんて、運のかけらもない奴だ・・・・・・」


「うるさい。おまえが仕込んだんだろ。どこをさしても、アウトになるように細工したとか・・・・・・」


 往生際の悪い男に、正樹はため息をついた。


「そんなことをしたら、じゃんけんで負けた時点で敗北だ。あまりにリスキーすぎて、やるわけないだろ」


 正樹は人形を差し込んだあと、別のところに剣を刺した。


「人形は抜けなかっただろ。おまえの運が悪かっただけだ」


 証拠を突きつけられ、反論の余地を失った。


 正樹は告白失敗を思い浮かべているのか、顔をにんまりとさせていた。定はその様子に対して、小さなにらみを入れた。

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