夕食の時間(改)

 船長のテステコをはじめ、団長のディック、先ほどまで一緒にいたバーニーの他にふくよかな体型のおばさん、ベニス。


「船上生活は退屈かも知れないけど、船上生活は

何より体力が資本だからね」

 ペニスはお腹を揺らしながら、ホクホクのジャガイモが大量に載った大皿をテーブルの中央にドドンッ! とおき、透明な水の入ったポットと人数分のグラスに水を注いで着席。


 「腹減ったよ~! もう動けねー」 と、ヘロヘロの状態でフラフラと着席してグラスの水を一気にあおる。


ピアノの練習中に甲板の上を走り回っていたワーギナー。


 「全く、あのじゃじゃ馬は無駄飯ばっかり食って、ロクに動きもしねぇ!」

 

 と真っ黒な服に煤だらけの顔を覗かせて入ってくる頭がツルツルの大男。

 

 「アンタはじゃじゃ馬に飯喰わせたんだから、その前にシャワー浴びて着替えて来な!」


 と、ツルツル頭を追い出したのはバーニーだ。


 「彼は整備担当のフェラー、機械室でいつも整備してるから気にしないでね」 と、あたしはこのスワップ旅団の面々と顔を合わせる事になる。


 団長のディックを筆頭に船長のテステコ、あたしの世話係のバーニー。


 そして、初対面の調理担当のベニス、雑用係のワーギナー? 機械整備のフェラーの七人


 「いつもと違うヘンテコな音色、上から演奏してたのはバーニーかい? 」


 調理担当のベニスが皮付きのジャガイモを手にとってアチチといいながら皮を剥いて口に放り混んでいる。


 「エーデル島からの奏人、カノン様だよ!」


  

「どうも、ベニスオバサンはじめまして、洋上での演奏ははじめてなのでイロイロ練習してました~奏人のカノンデス!」


 あたしの演奏を変な音と評価した事にムッとしながらも! ケンカにならないように返しモス大陸へ到着する前にベニスに吠え面かかせる事を決意して返す。


 だって自分の唯一のものをバカにされたら誰でもムカってくるのは当然でしょ?


「聞いたことがない曲調だったけど、なんか凄く楽しかったよ。 」

 

 と、甲板を右往左往していたワーギナー。 

 あたしだって今日の練習が練習であるのに練習になってないような曲になってしまったのは自分で聴いて一番わかっている。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る