ベニスのジャガイモは熱々で絶品

「アフォォッ!アフォォッ!アフォォッ! アフォォォォォ」


 ベニスの茹でたアツアツのジャガイモを頬張るとあまりの熱さにたまらず奇声を発してしまう。


 「熱いから気を付けなさい」


 口に入れる前に一言欲しかったのにタイミングが遅かったようだ。


 「うちのベニスのジャガイモは絶品じゃからのぅ」

 と頭を光らせながらシャワーを浴び着替えてきたのはフェラーだ。

 

 「よ~し、全員揃ったな、改めて紹介しよう。エーデル島から島流しされてドエム島に幽閉されていた奏人のカノン様だ、船上生活ははじめてみたいだからみんな、仲良くしてやってくれ」


 と、全員が二つ三つ口に含んだジャガイモを飲み込んだのに対し脅威的な速度、まるで丸のみするようにジャガイモを五個、胃袋に納めたディックがあたしの事を説明した。


 正確には島流しにもなっていないし幽閉されたわけでもない。


 説明するのが面倒なだけであの塔、本来は島の上に立ってるみたいだけど潮の流れで島が沈み塔だけが顔を出していたとの事で、なにも特別な事はないそうだ。


 「本来なら歓迎会を開きたいところだけど、モス大陸へ行くまでの物資の量と燃料、それに最悪の事態に備えて歓迎会はあと回しにします」


 フェラーが戻り、追加の三個目を咀嚼しのみ込んだ船長のテステコ、歓迎会は後回しだそうだ。


 ベニスの茹でたジャガイモの四つ目を食べる前にグラスに注がれていた水をゴクリと飲み込み喉の通しをよくしてから皮を剥く。


 気がつけば山盛りだったジャガイモが残り少なくなっていた。


 あたしがゆっくりと皮を剥いていると

 

「船上生活では食べる時にしっかり食べておかないと必ず後悔するわよ! トロトロ食べてたらご覧の通りよ」


 バーニーが口に含んでいたジャガイモを飲み込んでいう。


 確かに、アレだけあったジャガイモがもう残り少なくなっているのにはビックリ。

 でも、あたしは基本小食だから心配ご無用!


 四つ目をモシャモシャと食べ終わり、お腹がいっぱいになったあたしは

 「ごちそうさまでした」

 と、いただいた事への感謝をしながら両手を合わせる。


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