モス大陸へは最悪一年以上?!

どこの世界の地図かわからない一枚の紙が壁に貼られ、六人くらいが寝れる二段ベッドの狭い部屋。


 寝るだけの部屋といってもまさにその通りの部屋。  誰かが使った後の部屋に見える。


  「奏人が来たって本当なの? うわっやば! 凄い美人さんじゃない!?」


 テステコが、部屋の使い方を簡単に教えてくれていた時だ。


 バタンと、ドアを開けたのはあたしと同じくらいの女の子。


 「団長がエーデル島から誘拐してきた奏人がいる~!って噂になってるけど、ホントだったんだねぇ!」


「コラッ! バーニー、団長から頼まれたんだろ? なにが誘拐だ! 物騒な事言うんじゃない!」


 「えへへへぇWWW」

と、端から聴いてわかる冗談を言ってきたのは随分と育ちのいい女の子。


 舌をペロッと出しながらウィンクしてくる。


……。

 …………。


簡単な部屋の説明を終えた船長は目の前のバーニーに『あとは任せた!』 と一言、直ぐに踵を返してドアをしめた。


 「カノン様だよね? あたしはバーニー。あなたの世話係りを任されました」

 と冗談を言っていたふざけた口から一転真面目な挨拶が飛び出す。



 今あたしたちは、このエーデル島を抜けて、ココ! と地図に何の記載もないあたりを指先でトントンと叩いて示す。


 「ドエム島から」

 と言い地図に置いたままの指、海であろう青い部分を滑らせるようにススススス~と上の方へ動かす。


ススススス~と一直線ではなくくねくねと何かを迂回するかのように曲線を作りどこかの大陸で指先を止める。


「ココ、モス大陸へ向かってます。 その時の海の状態にもよるんだけど、順調に進んで3ヶ月間海の上。 もしかしたら最悪一年くらい海の上かも知れないけど、これから長い期間ゆっくりしていってください」


 最短で3ヶ月……。

 随分と長い船上生活だけど仕方がない。


 「船内を案内するからついて来て」


 この世界についていくつか聞こうと思っていたけど、エーデル島がある世界ならあたしがいた世界と変わらないから大丈夫だよね?





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